【山口 時雄】第8回 21世紀の日本を支える「教育の情報化」って何?

日本の子どもの情報活用能力は劣っている

 日本の子どもといえば、算数・数学や理科など基本的な学力が高い上に、スマホもゲームも自在に操り楽しむ、世界最先端の“デジタルネイティブ”の印象が強い。しかし、昨年12月OECDが発表した国際的な学習到達度調査「PISA2015」の調査結果で、日本の15歳の生徒の“読解力”が低いという結果が明らかになった。

 それによると、日本の平均得点は、調査に参加した72の国と地域のうち、“科学的リテラシー”が2位(前回調査では4位)“数学的リテラシー”が5 位(同7位)、と向上したものの、“読解力”が8位(同4位)と順位を下げた。日本の“読解力”の平均得点は前回の538点から、今回は516点へと低下した。

 「PISA」はこれまで筆記による調査を実施してきたが、2015年度からコンピューター(PC)を使った調査へと移行している。文部科学省では、このことにより、紙ではないPC上の複数の画面から情報を取り出し、考察しながら解答する問題などに戸惑いがあったのではないかと、今回の“読解力”の成績低下について分析している。つまり、“読解力”そのものが低いのではなく、情報活用能力が低いのではないかということである。

 PCを使った試験は、「CBT(Computer Based Testing)」と呼ばれ、2020年以降の大学入試改革にも採用が検討されている。これまでの入試は、紙ベースで試験が行われており、問題のインプットも回答のアウトプットも紙で行われてきた。CBTでは、問題の提示も回答もPCで行われる。そのうえ、大学入試改革では、記述式の導入も検討されていて、PCで記述回答することが求められる可能性が高い。
 
 今現在、あなたの学校で、あなたのクラスで、紙に文章を書くよりPCのキーボードでタイピングする方が早い生徒はどれくらいいるだろうか。因みに、私が記者会見に参加すると、紙のノートにメモを取るのはほとんど私だけ。他の記者はノートPCを開き、ブラインドタッチ(キーボードを見ない)で、手書きより速くメモを取る。私は別に不自由はしていないが、あなたの生徒は試験会場で、どうなるのだろうか。書きたいことは決めているのに、時間内に半分しかタイピングできない。その結果が、「能力が無い」と判定されてしまう。それがCBTなのだ。やはり、情報活用能力は必要ではないか。

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山口時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長

日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。2013年~現職。

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