【林 隆樹】グローバル人材の必要性と実態

前回まで

前回、最小単位の「社会」としての「家庭(ホストファミリー)」を通して「社会(助け会う仕組み)」を学習する、という話をしました。現在の日本でほぼ失われてしまった、家庭での「お手伝い」は大変重要な「社会参加手段」であり「教育」であるという話をしました。ただ、お手伝いと言ってもいろいろなお手伝いがありうる、というところまででしたね。

ケーススタディ「T君のケース」

 私が留学のためのオリエンテーションのケーススタディで使用している「T君のケース」をあげてみましょう。

T君のホストファミリーは地元で高校の教師をしているお父さん。18歳になる1人息子は今年から別の州の大学へ進学し、奥さんは昨年病気で他界したため、現在はホストファザーとT君の2人暮らし。男だけの生活でいろいろ不便な面もあるけれど、ホストファザーはT君を本当の息子のように可愛がってくれている。ただ、ホストファザーもやはり奥さんを亡くしてまだ日も浅く、一人になると時々どことなく寂しい顔をすることがT君には気がかりだった。

ある日、T君は同級生の友達の家に招待され、週末を友人の家族と一緒に過ごしました。そこにはお父さん、お母さんそして子供たち、犬と暖炉と芝生の庭、といった絵に描いたようなアメリカの家族の団欒のシーンがあり、T君は「どうして僕のホストファミリーはお父さん1人なんだろう・・・」と疑問を抱くようになりました。

「そういえば、僕のホストファザーは一緒に外食することもないし、旅行に出かけることもない。家族といってもホストファザー1人だけだし、出かけるといえば毎週日曜日の教会くらい。それにしても、僕はキリスト教徒ではないし、せっかくの休日に朝寝坊だってしたいし、できれば教会とか行きたくないな・・・」というのが本音である。

こうした小さな疑問がだんだん大きくなり、疑問は不満に変わり、ホストファザーとの態度にもギクシャクするようになってきてしまった。コーディネーターにホストチェンジをしてほしいと訴えても一向に聞き入れてもらえない。最近はコーディネーターまでがホストファザーの味方ばかりしているように思えるし、挙句の果てに、「他文化不適応」のレッテルを貼られる始末。「僕はアメリカに来て、ホストファミリーと一緒にいろんな活動に参加して、交流を深めようと思っていたのに、どんどん孤立してしまう。僕は一体どうしたらいいのだろう?」

Q1⇒T君の言い分についてあなたはどう思いますか?

Q2⇒T君はどうしたらいいのでしょう?あなたならどうしますか?

どこかでまた説明しますが、高校交換留学には「合宿オリエンテーション」が必須です。9月始まりの北米の場合は、「春休み中」か「5月の連休」に行われることが多いかと思います。そこでは留学中に起こりうる様々なことへの対応を学びます。

すこし話題がそれました。「家庭」ということでした。この新聞をお読みの皆さんは、ほとんどが教育関係の方々であると思います。皆さんだったら、この2つの質問にどう答えますか?あるいは生徒達はどんなことを言うと想像しますか?

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