編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:中萬 隆信(ちゅうまん たかのぶ)社長(横浜市)

【中萬学院グループ】どれほど教育ICT化が進行しても、人間のスーパーアナログ力が大事

 神奈川県の中南西部を基盤に、創立以来60年以上続いてきた中萬学院は、現在170教室以上を展開し、小中高生一人ひとりのていねいな指導を心がけている。最新のデジタル化も活用しているが、あくまでも指導の中心は人間である。教育改革に向けて新しい波が押し寄せる神奈川県の中で、塾として何が出来るのか、これからの教育で大事なことは何か、中萬隆信社長を取材した。

神奈川県中南西部に加えて北部の展開へ

千葉 現状の正社員数、教室数、生徒数などを教えてください。現在、既存もしくは新規エリアで、特に注力している校舎や拠点があれば教えてください。

中萬 社員数は460名で教室数は170、今年度の生徒数は年間のピーク時で19,000名~20,000名を予想しています。

事業部により注力している地域は異なります。中萬学院はこれまで神奈川県中南西部にほとんどの教室がありましたが、今後は神奈川県北部にも少しずつ教室展開を増やしていきたいと考えています。具体的には、横浜市北部、川崎市、相模原市などです。県内の人口流入増は、東京中心部へのアクセスが45分以内のエリアが目立つ傾向にありますので。特に川崎市は重要ですね。

ていねいな人材育成と組織改革を目指したい

千葉 集団指導、個別指導、中学受験、大学受験に加えて英語指導の5事業部の展開を促進されておられますが、それぞれの現状と課題について簡単にお聞かせください。

中萬 個別は堅調に推移していますが、社会のルールが変わったので学生講師への対応にも工夫が必要であると感じています。(個別指導)塾のビジネスモデルそのものが問われているのではないでしょうか?

専任講師体制の中学受験の啓明館では、指導力と実績が地域で認められつつあります。特に女子の受験結果が近年では一番良かった。ただし、啓明館の所在地は特に、神奈川県の南西部に片寄っています。私立中受験の主要エリアは北部です。

東進衛星予備校の大学受験部門は、講師のクオリティの高さもあり、昨年まで順調でしたが、2016年度については反省大と言うしかありません。ただ、言い訳に聞こえるかもしれませんが、規模的に大きくなったことも原因していると思われます。事業部の組織化が遅れていたのです。リーダーのトップダウン、いわゆる「力技」での限界が露呈したことが第一要因です。

千葉 見直しの具体的な内容について教えてください。

中萬 まず人を育てること、営業のしくみを熟成させること、教務のしくみの見直しという三つを柱に明確な組織改革を目指しています。

最後に、高校受験部門は合格率に改善が見られました。その結果もあり春の集客力も向上しつつあります。要因は二つあり、一つはよりていねいな進路指導を心がけたこと、二つ目は内部充実です。具体的には、指導成果によりこだわることと合格実績や学力、そしてやる気などを向上させること、さらに次の時代に塾の中核となる若手幹部育成などの組織作りです。

千葉 若手社員といえば、最近、全国模擬授業大会での活躍が目立ちますね。

中萬 あれは若手の幹部の提案で申し込んで参加したものですが、今回男子社員がグランプリ、女子社員が新人賞を獲得し、社員のモチベーションは向上しています。成功体験を積み重ねてほしいと思っています。

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