嗚呼!華の応援団~第38話~

奴隷の、ごみ収集

 

日々、新人勧誘に明け暮れていたある日、いつものランチタイムの「情宣」を終えて片付けをしている私たちの元に、一人の男が小走りにやってきた。

男「あのー、応援団に入りたいんですが…」

何っ!?自分から入団希望!?そんな世にも珍しい、国宝級のヤツがいるの!?でも、よく見るとその男、身長は170センチ足らず。

細身で、顔はどう見ても「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる「ネズミ男」。こいつに応援団は勤まらんだろう、って感じ。

私「おまえ、なんで団に興味持ったんや?」
男「さっき見てたら、どえりゃあカッコ良かったもんで」
私「ん?おまえ、名古屋出身か!?」
男「名古屋だなくて一宮だて」
私「そうか、俺の隣町やんけ。高校は?」
男「一宮高校だて」
私「おぉ、ヤリ高か。なかなか優秀やないか。ま、とにかく飯でも食いに行こうや」

応援団の新人勧誘には金がかかる。何度も何度も飯を食わせ、酒を飲ませて酔わせた勢いで、どさくさ紛れに血判押させるってのが、応援団の得意技なのは前述の通りですわ。私たちは獲物を狙う虎のごとく、舌なめずりをしながら、男を中華料理屋に連れて行った。

私「何でも好きなもん食えや」
男「悪ぃでかんてー。ラーメンでいいわ」

何という謙虚なヤツ!ていうか田舎者!

私「おまえ、ほんまに応援団入る気持ちあるんか?」
男「僕なんかでも入れて貰えるんきゃあ?」
私「おぉ、もちろんや。この紙に判押したら、おまえも立派に団員やでぇ」
(いひひひひっ)

こうして、いとも簡単に男は入団とあいなった。男の名前はT村。

 

その時は誰もこの男が、我々二回生を脅かすほどの体力の持ち主で、気合いと根性の塊だということを知るよしもなかった。

そして、この男こそ、後の株式会社モノリスの専務取締役となるのである。

 

 

 

続く〉
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次回配信は8月23日を予定しております。