【山口 時雄】第11回 中学高校で プログラミング教育が必要な理由

20世紀の学校では教えてもらえなかったこと

20世紀の中頃、戦後生まれの我々の世代にとって最大のメディアといえばテレビだった。毎日毎日何時間もテレビを観て情報を得たり、笑ったり、泣いたり、学んだりした。家族が集まる居間の中心にテレビがあり、家族揃ってテレビを観ていた。テレビが家族同然というよりは、「おテレビ様」状態だった。

それほど重要かつ万能なテレビについて、学校で何か教えてもらったことはあるだろうか。NHKの教育番組を観て感想を話し合う、という授業はあったが、どう思い出してみても理科の時間に「テレビが映るまで」とか、社会や道徳で「テレビを観る心構え」などという授業は無かったように思う。テレビについて何も教えてもらわなかったのだ。それはなぜか、必要が無かったからである。

20世紀の教育で求めていたのは、テレビを作る工場で真面目に組立作業をする労働者やテレビを買ったり、テレビCMを観て商品を購入する消費者だったから。誰もが皆、テレビの仕組みや放送モラルを知る必要がなかったのだ。私はかつて、テレビ局関連の技術・制作会社で20年間ほど社員研修を担当していたが、テレビカメラ~ビデオ収録機~放送局設備~放送用電波~受信アンテナ~テレビ受像機というテレビ放送の流れがどういう仕組みになっているのか、説明出来るのは何百人もいる社員の中でたった一人だけだった。テレビ放送に係わるほとんどの人がそんなこと知らなくても困らないのだ。

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