【山口 時雄】第12回 プレゼンテーション能力とICT活用

「プレゼンテーション能力」がなくても生き抜ける国

20世紀から最近まで、日本国内のビジネス活動において「プレゼン能力」がことさら求められることは無かった。民間企業の企画コンペでは、綺麗で格好いい絵コンテ(映像の構成図)やパース(完成予想図)、分厚い企画書や予算を掛けた動画などの出来映えが勝敗を決し、官公庁や自治体の入札では中身より最低価格が決め手になる。20世紀には「バックマージン」や「リベート」、「袖の下」などの違法行為が横行したこともある。

時代劇にも、悪徳商人がお代官様に手土産と称して菓子折に入った小判を送る場面が描かれるくらいだから、古くから日本に定着した習慣なのかもしれない。

日本では、物事を決するのは、なんだかよく分からないいろいろな事であり、「プレゼン能力」がなくても生き抜ける国だったのだ。

しかし、日本企業が海外進出して活動を行い、外資系の企業が日本の経済を動かし、株を買い、会社を買うようになると、日本的なやり方が通用しなくなってきた。近年では「コンプライアンス(法令遵守)」や「ディスクロージャー(情報公開)」など欧米の考え方が日本でも定着しつつあり、「コンセプト(概念)」や「エビデンス(根拠)」などといった用語も一般的になってきた。

もしあなたが、「コンプライアンス」、「ディスクロージャー」、「コンセプト」、「エビデンス」の用語を聞いたことも使ったこともないとしたら、現代社会におけるガラパゴスの住人と云うことになるが、大丈夫だろうか。

つまり、企業内でも商取引でも「見栄えや形ばかりの提案」から「論理的なプレゼンテーション」が求められる時代になってきたのである。

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