【森上 展安】私立中学受験は存続できるか ― 迫りくる年少人口の減少

好調はどこまで続くか

2018年入試に向けて、私立中高の応募は前年対比増加が鮮明になっている。特に付属が好調でかつ共学校に勢いがある。

一見するとこれは「好調」で2020年の「高大接続改革」が同年のオリンピック開催と同じような需要増を生み出している面がある。なぜなら小6人口減が-2.8ポイントもあり、通常はその分の減少が生じるのを常としているからだ。

加えて、付属好調の背景にはそればかりではなく「23区内大学定員厳格化」で有名私大が入りにくくなっているという政策好況の側面もある。

もっとも外部要因ばかりでなく、この不透明な時代に出口戦略が明確だという属性が評価され直しているのかもしれない。だとすれば付属でも一貫教育のつながりや身につく能力のアピールに統一感がなければ「付属」の看板効果は早々に薄れていくだろうから、いわばこれからが正念場と言える。

一方で、大学はあるけれど「看板」になり得ていない中高はこの「付属」人気と縁がない。単純明快に「出口戦略」がアピールできず、進学実績でアピールする他ない。

この「看板」ではないが系列大学があるところといえども、しかし中高だけの法人とは実は「体力」が違う。系列大学が経営的にまっとうであれば余力がある。余力とは、中高の体力のなさをテコ入れするだけの余力という意味である。

現状、中学の中位校は定員割れが常態化しているところが多く、それは女子校に甚だしい。その主な理由はリーマンショックで、これによって全体で2割の受験者が減少している。それは偏差値難易度によって影響が異なる。上位校でも減少は少しだが受験生レベルで1割程度の減少だった。しかし、中位校は5~6割の減少になっている。受験生が元々多くない中下位校はこれで定員割れ必至になった。

この全体平均の減少度合の2倍3倍に中下位校の減少度合が大きくなる、という経験則がポイントなのだ。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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