嗚呼!華の応援団~第41話~

戦略的、迷子。

 

今年は体力自慢の一回生が2人。ネズミ男・T村と鹿児島出身のY野。

この2人のタフさには、我々二回生も辟易。

当然、応援団ではすべてにおいて二回生が一回生に負けるわけにはいかない。

なのに、この2人、足は速いわ、筋トレにも強いわ、おまけにリーダー練習も完璧ときた。

小柄なカラダをフルに生かして、何でも無難にこなしやがる。

 

さて、問題はマラソンである。

合宿の終盤のメイン・イベント「マラソン大会」では、

残り1キロ程のところで一旦全員が揃い、そこから一斉にダッシュでゴールを目指す。

どんなことがあっても一位は二回生でなければならないのだ。

万が一、一回生に一位を譲ろうものなら、世にも恐ろしいシゴキが二回生を待ち受ける。

そこで私たちはマラソン大会の前日、密かにある計画を練った。

 

さて、当日。

私とおさむちゃんは、それぞれにT村とY野の後ろにぴったりと付き、

「おらー、気合い入れんかいっ!」と叫びながら、竹刀で2人の背中をどつきまくった。

 

おさむちゃん「もっと声出せゆうてるやろっ!」

2人「押忍っ!同志社っ!ファイト!」

私「まだまだぁ!」

とにかく、序盤にこいつら2人をできるだけ疲れさせてやるんや。

そしたらラストのダッシュの時にはバテて走れんやろ、うひひひひ(笑)

我ながら賢い作戦や。数時間後。

マラソンもついに最後の1キロダッシュを残すだけとなった。

 

リーダー部長「よっしゃ。ここからダッシュや。二回生、気合い入れてトップ取れや」

二回生「押忍!」

 

バーン!!銃声とともに全員が飛び出した。

松ぼんがあり得ない速さで先頭を突っ走る。

その後ろをT村とY野が続く。あいつら、どこにあんな体力残ってたんや!

 

松ぼん「おらおら、抜かしてみんかいっ!」

2人の一回生は必死で食らい付いている。

目の前に二股の道が。松ぼんが右へ曲がる。一回生2人も右へ。

その後ろを走っていた私とワッタンは、ふっときびすを返して左へ!

 

「やったぜ!」

しばらくして、松ぼんが「道、間違えたっ!おまえらも戻らんかいっ!」

へっへっへっ(笑)もう後の祭りじゃ。俺たちの連係プレーは見抜けなかったやろ。

そして私とワッタンは、悠々とワンツー・フィニッシュを飾ったのであった。

「戦略勝ち」

こうして我々二回生は、その面目をなんとか保ったのである。

ちょんわ。ちょんわ。

 

 

続く〉
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