嗚呼!華の応援団~第47話~

 

二回生になると、団内でいろいろと役割を与えられることになる。例えば「鼓手」。

応援の時に大太鼓を叩くのだが、この鼓手こそが「団長コース」の象徴なのだ。

当然、私が鼓手に任命されるとばかり思っていたのだが、蓋を開ければ何と!鼓手はおさむちゃんで、私は第2鼓手であった(泣)。

旗手はワッタン。これは副団長コースの象徴である。

松ぼんにはこれといった役職は与えられなかった。

そして私には第2鼓手以外に司会担当と「渉外サブ」という役職が与えられた。

「渉外」とは、三回生の中で他大学との折衝を担当する仕事で、ほとんど次期団長と目される人が就く役職である。

だから「渉外サブ」もとりあえず団長コースっちゃあ団長コースなんだよね。でも、なんだか微妙…。

応援団の同期っていうのは「同じ釜の飯」の究極なんだから、仲がいいのは当然なんだけど、同時にライバルでもあるんだよね。この微妙な距離感はなかなかでっせ。

 

さてさて、そんなこんなで春の同立戦当日となった。

スタンドは両校の学生で超満員。

あいにく天候はあまりよくない。所謂「春の嵐」が時々吹くような、荒れた天候となった。

それでも応援団に天候など関係ない。

普段は居眠り気分のワッタンも、今日ばかりは団旗が倒れないように、必死で風と戦っている。

 

「頑張れよ!ワッタン。死んでも団旗倒すんじゃねーぞ!」

無言で頷くワッタン。

こちとら応援しながらも、気が気じゃない。おさむちゃんはアルプススタンドの最上段で必死に太鼓を叩いている。

 

「ドンドンドーン!」

地鳴りのような太鼓の音が球場中にこだましている。

太鼓を叩くのは想像を絶するしんどさで、バチを持つ手は皮が剥け、血飛沫が飛ぶほどだ。

だから鼓手は軟膏を常備していて、合間合間に塗っては痛みを和らげる。

おさむちゃんも何度も何度も軟膏をつけながら、頑張っていた。

 

何度目かの軟膏塗りのために、ふと太鼓の手を離した瞬間のことだった。いたずらな春の嵐が、びゅぅぅぅぅぅ~…。    

            

 続く〉
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次回配信は12月20日を予定しております。