【トンクス・バジル】数字でわかる英語教育改革の現状

文部科学省が行おうとしている英語教育改革に対して、民間教育機関の先生方の認識がこの1年間で随分と変わってきました。最近私がお会いした先生方は英語教育改革のキーワードである「4技能」と「CEFR」に関する基本知識があり、いつの日か「4技能・活動型授業」を提供しなくてはならない時代が訪れるだろう、という認識がありました。一方で、現場においては「まだまだ」という雰囲気があります。「2020年からの改革なのでまだ時間がある」、「何も具体的に決まっていないのでまだ対応できない」、「まだ決めないで、あと1年間様子見する」などのコメントを聞くことが多いのです。どうやら多くの民間教育機関の先生にはまだまだ英語教育改革はリアリティーのある話ではないようです。実際にはどうでしょうか。英語教育が遠い話なのでしょうか。まだ対応ができないのでしょうか。まだまだゆっくり検討する時間がありますでしょうか。私はそう思ってはいません。この意見を肯定する発表、報道、データを4つの数字をキーワードにご紹介します。

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第3者の力を借りる

文部科学省は今年の8月31日に2020年度から導入する大学入学希望者学力評価テスト(現在の大学入試センター試験の代わりに実施する試験)では英語の「話す」と「書く」力を評価しないで、その2技能の評価は民間の英語能力試験の結果を利用すると発表しました。この発表は現場の先生に大きな影響を与える方針の発表です。もはや「スピーキング問題」から逃げられないのです。これから確実に大学の受験生にスピーキングのトレーニングができるようにしないといけないのです。英会話スクールにとっては今まで塾しか通っていない子どもを顧客にする大きなチャンスとなるでしょう。一方、学習塾にとっては大きなピンチです。スピーキングのトレーニングをどうやって提供できるかを緊急に検討しなくてはなりません。もはやこの課題から逃げることはできないのです。

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CEFRベースの到達度目標を設定している高等学校は約70%になった

この夏に英語の4技能の到達度目標( CandoList)を設定済みの高等学校は69.4%、中学校は51.1%になりました。つまり各学校で英語の全ての技能を使って「何をできるようにするか」という具体的な学習目標が決まってきたというわけです。言い換えればCEFRの影響が現場まで来ているのです。(CEFRというのは2001年に欧州評議会(Council ofEurope)によって発表された、外国語能力の参照基準です。)日本の中学校と高等学校で全てCEFRに基づいた学習到達度目標が設定されれば現場の先生の授業は大きく変わらなければなりません。知識を伝達するレクチャー形式の授業を圧縮して、スキルのトレーニングに費やす時間を増やす必要が出てきます。各先生は速やかにどのようにトレーニング、特に言語アウトプットであるスピーキングと作文のトレーニングを提供するかを検討しなくてはなりません。

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トンクス・バジル

1966年カリブ海の島国トリニダード・トバゴで生まれ、1969年にカナダへ移住。トロント大学を卒業後、ブリティッシュコロンビア大学院でアジア学を専攻。

1992年に来日以降、英語学校の統括責任者、教材開発者、教師養成トレーナーなど幅広く教育にたずさわってきた。

現在は教育出版会社である株式会社エドベックの副社長。

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