【吉田 博彦】大学入試改革各論2 ― 英語4技能化問題 ―

2020年度からの大学入試改革において、今回はもう一つの大きな改革となっている、「英語の4技能テスト」導入の問題について整理したいと思います。

この問題についてはマスコミ等でかなり取り上げられているために、多くの方がいろいろな形でご存知だと思います。しかし、「なぜ大学入試の英語のテストを『聞く、話す、読む、書く』の4技能測定テストにする必要があるのか」という改革目的の議論となるとなかなか正確な理解がされていないように思います。

1980年代の臨教審以来、「日本の英語教育に問題がある」という指摘は多くの改革論議の中でされてきました。そうした中で、2000年前後から中学や高校の教育課程に色々と手が加えられ、2011年からは小学校での「外国語・英語活動」が必修化され、高校学習指導要領でも、授業は英語を用いて行うことを基本とし、英語4技能を総合的に育成することが求められました。しかし、現状の大学入試では英語4技能をバランスよく評価している例は少なく、英語コミュニケーション能力の育成といわゆる「受験英語」が乖離しているため、高校の英語の授業改善が進まないという現実があります。

確かに、一部ではリスニングテストも導入されましたが、例えば大学入試センター試験のリスニングテストなどは難関大学の選考資料として使えるほどの内容ではないこともあって、文法・訳読中心の高校での英語の授業という状況は変わりませんでした。そこで、そういう状況を変えるために、新しい学習指導要領で小学校5年・6年から英語を正式に教科とし、中学では2019年の全国学力調査から、4技能の評価・測定を導入することが決まり、大学入試の「新テスト」を4技能評価ができるテストにすることとなったのです。

問題は「それをどのように実現するのか」という方法論です。現在の大学入試センター試験の英語のテストでは「聞く、話す、読む、書く」の4技能のうち、「聞く、読む」の2技能は測定・評価をしているのですから、「あとの2技能も大学入試センターで作成する」という議論もありました。しかし、導入から10年の経過したリスニングだけでもトラブルを少なくするために、関係者が大変な努力をしながら何とか実施しているのが現状で、大学入試センター試験のような大規模で同一日実施の一斉型試験では、「話す・書く」の2技能を試験に取り入れるのは日程も含めて、実現は極めて困難なのです。

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