【山口 時雄】第16回 新年度に向け学校リーダーが取り組むべきICT活用教育

私が取材したある私立高校では「学力向上」という単一の目標に絞って、ICT活用を実施しました。やり方は「授業外での活用」という取り組みです。担当の先生の考えでは、一定の水準にある生徒の学力を向上させるには、1)単純に学習時間を増やす、2)学習効率を高める、を行えばよいというものです。1人1台タブレットPCとクラウド環境を導入し、授業以外の時間で動画を使い予習・復習する。解答用紙を授業中に配るような無駄はせずデータでシェアする。と、いったように、ICT機器を時間の有効活用を支援するツールとして利用する。「1人1台のタブレットを活用した協働学習」といった新しい学び方導入などのチャレンジをあえてしない、という割り切り方です。その結果、実際に学力は向上し偏差値も上がったということです。もちろん、ベテラン教師たちの指導ノウハウを活かすために動画教材の作成に協力してもらったり、紙ベースのアナログ教材のデジタル化をサポートしたりという人的支援も行ったということです。

別の私立高校では、生徒の偏差値幅が広いために発生する課題である「学力中低位層の底上げ」を目的に、アダプティブ(個別対応)型のeラーニングシステムを導入しました。PCを利用した個別学習で生徒が解けない問題にぶつかると、AI(人工知能)的な仕組みがその原因を自動的に見つけて中学レベルでも小学レベルまででも遡って出題、問題の解けない原因を解消します。高校の問題が解けない「つまずき」の原因を解決するため、導入後の学力向上は顕著に現れているといいます。あわせて、特進クラスでは「先取り学習」が可能な為、こちらも学力向上につながっています。

この高校がeラーニングシステム導入で成果を挙げたのには理由があります。システム導入に先立ち利活用のための運営テームを編成、計画的に学習を進めたことです。統括責任者を中心に「英語」「数学」「国語」の担当教諭が利用計画を立案し、実際の利用や進捗状況を共有し合いました。この学校のICT環境は決して充実したものではなく、1人1端末でもありません。しかし、朝学習や放課後学習のためにPC教室を開放したり、自習スペースで利用できるように端末を貸し出したり、自宅でのeラーニングシステムの利用を可能にするなど様々な取り組みや、大きな負担にならなくてもできる先生方の稼働協力などで成果を挙げました。

つまり、ICT活用教育では、目的を明確にして計画的に取り組めば効果を上げやすい、ということです。あなたの学校に、解決したい課題はありませんか。そこから「ICT活用ポリシー」を考えてみましょう。「ICT活用ポリシー」の検討について第三者の声が聞きたいという方は、私にMailしてください。

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山口時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長

日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。2013年~現職。

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