【森上 展安】首都圏中学受験実質5ポイント増 大幅増加の一方で二極化拡大

受験者数2.6%の伸び

2018年首都圏中学入試は、事前の模試の予想通り、小6人口の2.6%の減少にも拘らず2.6%強の増加率になった。これは実質5ポイント以上の伸びとなり、リーマンショック以来大きく緩和していた中学受験が一昨年来、反転上昇の傾向ではあったものの、ここにきて鮮明な増加を示したといえる。但し、その算出根拠は、2月1日午前の受験者実数に基づいているため、首都圏のうち東京、神奈川の私立中学受験を反映しているが、埼玉、千葉など近県においても入試初日の受験者増が著しい。これは反面、東京、神奈川の2月4日以後の後半日程の受験者数減少も招いており、原稿執筆時点では十分首都圏全域の検証はできていないが、受検日程の圧縮・短縮が起こっている可能性が高い。

その誘因となったのは、東京、神奈川入試のうち、特に神奈川に見られた2月1日入試実施の動きだ。

具体的には、男子中堅校の鎌倉学園が2月1日午前に新しく入試日を設定したこと、また、2月1日午後に桐蔭学園と桐蔭中等教育学校及び山手学院も午後入試を実施したことなどが挙げられる。神奈川では既に昨年は2月1日午後に鎌倉学園、2月2日午後に桐蔭と山手などが入試を実施してきており、2018年入試までに1日入試への参入が加速した。これに伴って1日の受験者数が増大。他にも青山学院横浜英和が共学化して男子募集を初めて実施したのも2月1日午前入試だった。

それは千葉入試でもあって、皮切りの1月20日に同日午前の幕張メッセを使った市川学園の大規模入試の後の20日午後に昭和秀英が午後入試を実施し、737名に上る受験者を集めたことにもいえよう。

埼玉でも10日の栄東A(6000名余りの入試)の後、11日に開智が先端特待の新入試を実施し、また、10日午後に城北埼玉が午前入試を新設、ここでも受験の前倒しが起こっている。

こうした入試解禁日の受験が増えることで受験者増となったことをまずは確認しておきたい。

付属男子、付属共学の増加

前記したように2月1日入試の増加という入試参入による増加ではなく、付属校に見られる純増は、これも大きな傾向だった。

特に男子において東京地区の付属、半付属における伸長は昨年入試でも注目されたが、2018年入試においては一層明瞭だった。具体的には、慶應普通部、早大学院、学習院、そして明大中野などの増加だ(顕著な男子付属校、半付属校における増加)。

また、付属共学校としては、早実、慶應中等部、明大明治、明大中野八王子、法政大、中大附など全て増加基調となっている一方、神奈川は中大附属横浜、法政第二は伸び悩んだ。これは青山学院横浜英和の共学参入によるもので基調としてはやはり増加と見るべきだろう。

大学付属としては昨年新校舎移転をした芝浦工大附属が今年はやや減少したが、高い倍率を維持しているし、成蹊、成城学園などもほぼ昨年の人気を保ったといえる。東京と神奈川で違いを見せたのは日大系列で、東京は全て増、神奈川は2校ともやや減少した。その他東海大浦安と東海大相模や、神奈川の関東学院六浦の増加などもこの流れと理解できよう。早慶MARCHの主に系列大に進学する付属校を除いていずれも系列大進学もできる一方で他大受験の実績も出せる「半付属」という分類を筆者はしているが、学習院以下上記に掲げた系列大学を持つ一方で進学校でもある「半付属」というタイプの学校が人気であることは早大推薦枠50%で東大他にも多数進学する早稲田の高い人気を保っているのを見れば分かりやすい。また、香蘭、立教女学院の人気上昇もしくは維持を見てもそうである。あるいは獨協大、獨協医大に推薦枠を持つ獨協、獨協埼玉の人気維持もこれに加えたい。東海大浦安は、東海大医学部に毎年数名進学して安定している。東海大付属は全校で推薦の枠があるだけだが浦安は実績として5名ずつくらい出ているところが注目されていると思われる。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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