【山口 時雄】第18回 ICTを活用して生徒の「苦痛」を聞き取ろう

あなたの学校に“いじめ”や“暴力”、“ハラスメント”は本当にない?

いじめが原因とみられる自殺や自傷事件が発生しても、多くの学校や教育委員会では「いじめは無かった」という調査結果を発表する。いじめを受けて自殺まで至るケースは稀かもしれないが、いじめは本当に稀なのだろうか。あなたの学校には、いじめは存在していないのだろうか。釈迦に説法だろうが、いじめの定義について改めて確認してみる。

いじめ防止対策推進法の施行に伴い、いじめは下記のように定義されている。

「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

この定義の「当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」が、いじめだとすると、学校にいじめというものが無い方がおかしなことになる。「え、そんなことで?」と思うようなことでも、当事者が心に苦痛を感じれば「いじめ」ということになる。

例えば文部科学省の資料で(ごく初期段階のいじめの具体例) として挙げられている下記の例。

・ 授業中に先生に指されたが答えられないAさんにBさんが「こんな問題も分からないの」と言った。Aさんは、ショックを受けて下を向いてしまった。
・ AさんはBさんから滑り台の順番を抜かされて悲しい顔をしていることが度々ある。

この程度の場面でも、当事者が苦痛を感じれば、いじめということになる。

こんなことなら、いくらでもあるのではないだろうか。授業中の指導、休み時間の生徒同士の会話、ちょっとした冗談やいたずら、部活動での指導や叱咤激励。そんな中で、生徒の心や体に「苦痛」を感じることがあれば、それが「いじめ」なのだ。同様に「暴力」や「ハラスメント」も、当事者が苦痛を感じれば適用されるというのが最近の一般的な認識なのである。

部活でコーチが「しっかりやれよ」と頭をコツンとしたのは「暴力」。担任が女子生徒に「髪の毛切ったな。失恋でもしたか」と冷やかしたら「セクハラ(セクシャルハラスメント)」なのである。平手打ちや体に触れる行為などは、完全にアウトである。

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山口時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長

日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。2013年~現職。

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