【吉田 博彦】2020年学習指導要領の 内容と課題(1)

旧学習指導要領と新学習指導要領の比較

 2020年4月から施行される新学習指導要領を理解するために、まず最初にこれからは旧課程と呼ばれるようになる2011年から施行されてきた現行の学習指導要領と新旧の比較をしてみる。

旧課程の基本要約(①〜⑤)

① 基礎・基本を確実に身に付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などの「生きる力」の育成を目標とすることは2002年学習指導要領と変わらない。

新課程の方針

知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを重視する2011年現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成。


解説
 新学習指導要領では「知識の理解の質」という言葉に象徴されるように、学力の質的向上がテーマとなって、その方策として「与えられる知識」よりも「発信する」ことに重点を置いた。ただ、「与えられる知識」を否定しないのは「ゆとり教育」批判の反省からである。


② 子どもたちの学力と学習状況については、読解力や記述式問題に課題があること、成績中位層が減り、低位層が増加しているなど成績分布の分散が拡大していることなどの低下傾向が見られることが問題で、学習意欲やねばり強く課題に取り組む態度自体に個人差が生じているなどの課題がある。

新課程の方針

発達の段階に応じた語彙の確実な習得、意見と根拠、具体と抽象を押さえて考えるなど情報を正確に理解し適切に表現する力の育成(小中:国語)
学習の基盤としての各教科等における言語活動(実験レポートの作成、立場や根拠を明確にして議論することなど)の充実(小中:総則、各教科等)


解説
 読解力や記述式問題に課題があることを受けて、各教科の中で具体的にどのように克服するのかが示され、言語指導の充実に力点をおいていることが今回の特徴。小学校上級学年での英語の教科化、中学年での必修化はこれを根拠としている。


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