【林 隆樹】グローバル人材の必要性と実態

― 保護者を満足させ受験を見据えた海外留学のすすめと取り組み方 ―

高校側から見た留学・国際交流について

 前回は表記大タイトルのもと、留学生到着後のオリエンテーション、日本での留学生活で、留学生が戸惑う事柄、それに対する指導の仕方等をご紹介しました。

そして、ある意味当然なのですが、その「留学生が戸惑うポイント」とは「日本文化の特性」でもあり、「本音と建前」、「否定疑問文」、「血液型話題」等を例にあげて説明しました。今回は、「グローバル人材育成」に極めて重要な事柄のはずであるのに、意外に軽視、見過ごされている「日本文化の造詣」についてお話しましょう。

国際交流と留学

ここのコーナーではほぼ同義語としてこの2つを扱っており、「国際交流」と「留学」、もちろん重なる部分もあるわけですが、敢えて分けて考えれば「国際交流」は「他文化体験を通して、自文化に気付いたり、他文化との協調を考えたり」というもので、「留学」は「何かの学問あるいは、語学、最先端の技術などを海外に学びに行く」ということでしょう。

私は、小・中・高生に必要なのは「他文化体験である国際交流」であると思います。例えば小学生や中学生が1~2週間の短期間でいいので海外生活を体験する、そこでの学びは計り知れない、とても貴重な経験になるはずです。もちろん、指導方法が非常に大切になってくるわけですが。「国際交流」というとつい「折り紙」、「けん玉」、「お習字」等をなんとなく話題としがちで、小中学校レベルであればそれもよいのでしょうが、高校生以上であれば何を話題に交流するのでしょう?意外にこの辺りはおろそかになっているのではないでしょうか?

グローバル人材の定義

 文科省のグローバル人材の定義は下記です。

『世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間。』

 これについて批判の向きもあるようですが、私は解かりやすい定義であると思います。言い換えれば下記のことでしょう。

 ①日本人としてのアイデンティティ
 ②教養と専門性
 ③他の価値を理解するコミュニケーション力
 ④それらを理解した上でそこから新しい価値を創造する力
 ⑤目先にとらわれない社会貢献意識

 この上記筆頭の「日本人としてのアイデンティティ」、この場合の意味は「日本・日本人らしさ」ということになると思いますが、この教育がほとんどされていないところに大きな問題があるのではないかと思います。またこの「日本人としてのアイデンティティ」を明確に語れる人は教育関係者でも極めて少ないように思います。25年以上行っている「1学年間高校生留学」の面接試験で、「神社とお寺の違い」について「神道と仏教」という名称以上のことを語れた生徒は一人もいません。

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林 隆樹(はやし りゅうき)

(一社)日本青少年育成協会 理事・国際交流委員会委員長

1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院在学中にフランスに1年間留学、帰国後翻訳会社に勤務。

1992年、サンフランシスコに本社を持ち、世界各国に展開する英語学校の日本支社長に就任。

以降、留学業界で活躍。2001年社団法人日本青少年育成協会国際交流委員会、2004年より同協会理事に就任、現在にいたる。

2000年より一般社団法人JAOS海外留学協議会事務局長、2013年より専務理事。

2011年、一般社団法人J-CROSS留学サービス審査機構の立ち上げにかかわり同機構理事。

2014年より、特定非営利活動法人文際交流協会理事。2017年より学校法人イーストウェスト日本語学校理事。著書に「成功する留学、交換留学編」(共著)などがある。

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【2018/5月】グローバル人材の必要性と実態

【2018/4月】グローバル人材の必要性と実態

 

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