【大村伸介】人は宇宙である

 いまこの原稿を書いております6月、梅雨入りが宣言されました。お手元に届くころには梅雨明けかと思いますが、そんな今までの常識といいますか、そういうものが通用しないような天候がここ最近続いていますね。かくいう私も情けないことに体調を崩しがちでしたが、先生方もどうぞご自愛ください。

 先日、研修打ち合わせに訪問しました学校の校長から、
「毎回楽しく先生の記事を読ませて頂いております。実は保護者会でも折に触れて話をしているんですよ」
と仰って頂きました。ありがたい話です。

 「特に印象に残っているのは先生のお子さんの話ですわ。ほめ言葉のズレの話(2017年4月号)と血液入れ替える話(2017年7月号)なんかは特に」と言われ、ハッと気が付きました。ほめ言葉のズレは次女、血液入れ替える話は長女…。なんと長男だけが記事にされていない!という思いもありつつ、今回は長女の話の続編です。

ネガポジ

 長女の友人Aさん、気分屋すぎてほとほと困っている、もう振り回されるのはうんざり…。そんな相談を長女から受け、Aさんの嫌なところを毎日5つ書き、それを5つ反転しました。初めのころは、大変な抵抗があったようですが、2週間を過ぎたあたりから長女の様子が変わりだしました。気分屋で振り回す友達は、実は自分の意見をしっかりと言える友達と認知が変わりました。長女はそのことを友達本人に伝えたそうです。その上で、「自分の意見を言えるのはすごいけど、振り回されたりするのはしんどい時がある。だから、私たちのことも考えてほしい」とリクエストしたそうです。「パパ、あれからあの子、めっちゃ変わってん!」いやいや、変わったのは友達ではありません。長女の友達に対する認知が変わったのです。認知が変わったから、長女の友達に対する言動や接し方が変わったのです。ただ、それだけです。他人を変えることはできないのです。教育コーチングにおけるもっともベーシックな考え方です。

(私教育新聞2017年7月号
https://shikyoiku.net/2164

愛・所属欲求と承認欲求

 実はこのAさんは長女が幼稚園の時から家族ぐるみでお付き合いがありました。もちろん、長女のAさんに対する認知が変わったのもあるのですが、それ以上に変わったものが実はあるのです。

「Aっ!○○したらだめでしょ!」
「あなたはホントにいつも○○なんだから…」

そんなご両親とのコミュニケーションにAさんはいつも

「はい、おかあさま」
「はい、おとうさま」

と返事していました。見た目は何の問題もない、大人のいうことを聞くいい子ども。私たちにもそう映っていました。しかし、遊びの最中には必ずといっていいほどトラブルが起き、自分がリーダーにならないと気が済まず、自分の意に沿わない友達は仲間外れにしていたそうです。

 そういう傾向は小学生の間、ほぼずっと続いており、長女も距離をとって接していたようですが、中学生になり、同じ部活で近所に住んでいるとなるとそうもいかなくなりました。それが記事になったわけですが、長女が距離を取っている間は家族でも少し距離が生じていました。そして、また最近、距離が縮まってきたわけなのですが、ご両親のAさんに対する接し方が以前とはまるで違うことに驚きました。いや、正確に言うと、発している言葉はほぼ変わりません。しかし、その時の表情が違うのです。そんな変化に気づいた私は何があったのか聞いてみました。

○今までは、「こうあるべき」という育て方をしていたけれども、Aは真反対の方に育っていった

○お兄ちゃんと比べて、Aの人格を否定するような接し方をしていたし、それが正しいと思っていた

○悩んでいる時、大村さんところのKちゃん(長女です)から悪いところをいいところに見てもらえてとても嬉しかったとAが言っていた。それに気づかされた

○AのいいところもわるいところもすべてAなんだと思えるようになってきた

 まとめるとこんな感じです。周りからの愛・所属欲求が十分でないまま、その穴埋めをするべく承認欲求にスイッチが入り、前述のトラブルを招いていたのでしょう。

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大村 伸介(おおむら しんすけ)

(株)成基総研 コーチング室 室長

集団指導塾を経て、2004年株式会社成基入社。

教室長、エリアマネージャー、本部長補佐、副本部長を歴任。

現在は、教育コーチング、パパママコーチングセミナーのトップ講師として教職員研修、保護者講演会等で全国を飛び回る。

日本青少年育成協会認定上級教育コーチ・認定A級トレーナー、主任研究員

ohmura
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