【山口 時雄】第22回 失敗しないICT導入・活用に絶対必要な「外部の声」

教育界のICT活用は今、“格差が凄い”状態である。導入・活用に成功して、日々進化を続ける学校があれば、「ICT?What?」という学校もあると聞く。ICT教育ニュースという立場上、全くのNO-ICTという学校とは接点はないが、苦労している学校を目にすることはある。今からスタートしても失敗しない「ICT導入・活用」のために絶対必要な「外部の声」とは。

ICT導入・活用でやってはいけない2つの事

*お願い。聞き慣れない用語があった時には、PCやスマホで「検索」してください。

 学校におけるICT活用は10数年前から行われている。PC活用なら、数10年前から挑戦が続いてきた。その中心は先導的な教育委員会だったり、大学だったり、先生個人の取り組みだった。最近のICT教育の動きは少し違う。まず、時代が違う。「AI(人工知能)」「IoT」「ビッグデータ」「ロボット」などを中心とした第4次産業革命が本格的に進行し、デジタル・ICTは不可欠なものとなっている。日本国政府も「Society5.0」というサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させた新しい社会のあり方を提示し、2020年からはじまる新しい学習指導要領にその時代に相応しい「情報活用能力」を必須要素として掲げている。「紙と黒板のどこが悪いのか」、「ICT活用は是か非か」などという、くだらない議論をしている暇など全くない。

 さて、ICTの導入・活用において決してやってはいけない事が2つある。

1)できる先生に任せる
高校には情報科の先生がいて、小中学校にもパソコンおたく、Macファン、工作通などICT関係に強い先生がいたりする。この10年間くらいで先導的にICT導入・活用にチャレンジして来た多くの学校では、そうした先生が個人的に努力して進めてきたケースが多い。しかし、いざ本格的にICTを導入しようとすると、そうした先生方の努力はかえって足かせになってしまっていることがある。
例えば、教室にWi-Fiを設置しようと量販店でAP(アクセスポイント)を購入し、教職員室から廊下の天井にケーブルを引いて設置する。簡単に教室でWi-Fiが利用できるようになって便利だし、先生や数台のタブレットPCを接続しているのには問題が無いが、10台~20台と利用台数が増えると繋がらなくなる。また、公開授業の時などに限って繋がらなくなる。そうした状況を見学した先生たちは思う、「ICT使ってたら授業が進まないな」。

 Wi-FiのAPには性能の違いがあって、5~6台が繋がるもの、20台まで大丈夫なもの、40台以上でも使えるものなどがある。家庭用や小さな事務所用では、1教室1人1台で40台のタブレットPCを繋ぐことはできない。こういう方式で全教室Wi-Fiを張り巡らせてしまうと、1教室で20台までしか使えなかったり、撤去してから再設置という二度手間になってしまう。

 また、こんな話も聞いたことがある。プログラミングの心得のある情報科の先生が、表計算ソフトなどを使って校務管理システムを構築、使い易く便利で数年間使用しデータもかなり蓄積した頃にその先生が転職。その後入力要件に変更があって、プログラムの変更をしようと試みるも、誰も中身が分からず手も足も出ない。因みに、校務管理システムは、先生の「働き方改革」において最も重要なツールのひとつであり、文部科学省でも導入を推進している。

2)出入りの業者や営業マンに相談する
ICTの導入・活用には「外部の声」が必要だというテーマだが、出入りの設備業者や教材メーカーの営業マンなどは、学校の内情も知っていて、何かと相談しやすいだろうが、ことICTの導入・活用について相談してはいけない。アナログ時代の知識や経験、自社製品中心の視点では、あなたの学校の未来像を描ききれないからだ。同様に、ICTの進化が同レベルの学校の校長から話を聞いて安心するのも問題外だろう。

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山口時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長

日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。2013年~現職。

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