編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

いろんな塾のいろんなイマが見えてくる

【私塾REAL】vol.16 エイスウclub運営部会匿名リポート

 6月13日の午後、東京日比谷の帝国ホテル「蘭の間」において、三重県の大手塾「eisu group」(山本 千秋代表)主催の「民間教育経営者のためのエグゼクティブ経営開発クラブ」である「エイスウclub運営部会」が開かれた。今回の私塾REALは、全国主要塾から発表された近況と塾の生産性向上についてリポートした。(主催者との約束により、塾名と発表者は匿名。地域も特定しない)

A塾「20ヶ月分の月謝とは?」

 通常の月謝に加えて、夏と冬の講習で生徒一人あたり20ヶ月分が単価だったが、最近の生徒一人あたりの単価は18ヶ月分に下がっている。この2ヶ月分の落ち込みを努力と工夫、そして業務の効率化と経費削減などで挽回しなければならない。

 塾の入試説明会等で、高1生と高2生を外部から取り込まなければならないが、高1生は新しい入試制度で、高2生は現行制度の最後の学年であり、双方に関係した内容を話すのは難しいが、高い学力で高い学歴を得ての経済的効果について話をすると保護者の心を引き込むことができる。

B塾「教育以外の部分で必要になる人材とは?」

 塾部門だけでの新卒採用は難しい。2020年以降、教育サービスの大きな変化が起きるはず。教える以外の部分で人材が必要になるかもしれない。生徒にとって何が良いのか、もう一度問い直して生産性向上に取り組みたい。

C塾「健全なる赤字経営を目指したい??」

 生徒数が2%減ったが月謝を上げて売上は+3%に。つねに新校舎を出していかなければならない企業体質もあるので、コスト削減をしつつ「健全なる赤字経営」を目指したい。ネットで広告を出しているが問い合わせだけ増えて入塾に結びついていない。高額なので別の方法を考えたい。

 生産性向上のためには適正人事が必要だが、仕事のできる人は中学部の定期試験対策で疲弊し、できない人はなかなか上手く使えない…できる人を伸びる部門に配置できるようにしたい。

D塾「通塾の必要性は何か? 問い直したい」

 春期講習が想定より下回った要因には、広告宣伝で工夫が足りなかったと感じる。もっと塾の必要性や当塾の良さを知ってもらう内容にしなければ…それをやっているつもりで全くやっていなかった。

 生産性を高めるため、個別指導専門の基幹システムの構築と運営、タブレット動画で在宅学習を促進しつつ塾で何ができるか塾に通う必然性を問い直したい。

E塾「社員もアクティブラーニング!!」

 三つの県にわたって校舎展開しているので、業務の効率化と経費削減のため、会議を減らす努力をしている。また生徒と同じように、ブレインストーミング等のアクティブラーニング形式も取り入れて、経費削減と効率的運営の意識を社員全体に高めたい。

F塾「生産性向上で体質改善を」

 非上場であっても四半期決算をすれば生産性向上が図れて利益重視の経営ができる。自分自身の体調管理と同じで、四半期決算によって赤字経営からの脱却も可能。本業の塾は少子化で先行きが厳しい。日本語学校は外国からの留学生の日本語指導なので、塾の体質に合っている。

G塾「生徒一人あたりの単価が下がった」

 ここ数年生徒数が増えても売上が変わらないのは、生徒一人あたりの客単価が下がっていたからか。習い事など単価の低い部門の生徒が増えて受験をする部門の生徒が減っていた。どうやって、習い事の生徒を塾部門に取り込めるかが勝負だと思うが、所得層の低さがネック。少子化を克服するためには、最近増えている外国人、特に留学生を対象に日本語学校をやるしかない。また介護も自分のためでもあり(笑)今後本格的に取り組みたい。

H塾「7校舎減らしたが売上プラスの理由とは?」

 昨年大幅なダウンサイジングで7校舎閉めたが、今年は新校舎無しで売上がプラスに…アノ手コノ手に加えて、単価の高い学年の改善ができたからだろうと思う。

 生徒の成績アップから社員のモチベーションアップの先に業績向上があり、それぞれが連動している。好調なグループ企業もアピールしつつ、人材採用を確保したい。

I塾「合宿だと1年かかる教育が3日でできる??」

 自分たちの得意な合宿教育という視点で生産性向上を図りたい。通常の授業だと12ヶ月かかるところを合宿だと3日ほどの濃厚な時間で生徒たちの心に迫る教育ができる。無人島の冒険旅行や体験型の教育で次世代のリーダーを育成したい。自己発見能力の育成、夢を書くノート、好奇心を高めることをする…など専門家のアドバイスのもとに引き続き当塾にしかできない生徒指導を目指していきたい。

J塾「社員の感性をもっともっと磨きたい!!」

 もっと楽に生徒の成績向上と業績向上をしたい。一つの方向性としては、当塾の所持しているノウハウをとことん磨き込んでいくことか。たとえば生徒の雑談でどうモチベーションアップできるかなど。また、若い母親世代の感じ方を学びつつ、それにアピールできる人材育成をしたい。そうしなければ、チラシを作っても顧客の心に響くコピーは作れない。

K塾「グループ内の適材適所を目指す」

 生徒が減っても売上げ的には同じ。なんとかなっているが、月数百万かかる大規模校舎は小規模校舎に移転して経費削減する。

 グループ内で、塾の仕事に向かない人は介護部門に異動させるが、実は給与は介護の方が高い。グループにいろんな事業体があれば、あれこれやることで適材適所が可能となる。

L塾「私高優位とは?」

 当塾の県では、平均年収が減って、私立就学支援金が支給されることで、公立志望から私学志望が増える。つまり「私高優位」で偏差値50前後の私学の定員に対して倍率が高くなる。どこでも入れるので、公立志望も私立志望も塾に来ない。何か対策を考えないといけないが、ブランド力のある個別指導塾は生徒が増えているようだ。

M塾「ICT教育でアナログ教育は無くならない」

 ICT教育は進めているが、人対人のアナログ教育は疎かにしていない。デジタル機器を活用して教師の手間を省きリアルに生徒と向き合える時間を増やしたい。1クラスの生徒数をどれだけ増やすかではなく、一人の先生が個別に教えられる生徒をどれだけ増やせるかが勝負。塾の生産性のしくみを捉え直さないと生き残れない。

(次回は9月初旬に開催予定)

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