【山口 時雄】第23回 社会が変わる、学びが変わる ~Society 5.0に向けた人材育成~

いま、社会が大きく変わろうとしています。AI(人工知能)、IoT、ロボット、ビッグデータなどによる第4次産業革命が急速に進んでいます。自動車は自動運転に、外科手術はロボットに、顧客の電話対応はAIが行うような時代です。あなたの手の中のスマートフォンは、90年代のデスクトップパソコンの数十倍、数百倍の性能です。こんな時代に20世紀と同じ教育でいいんでしょうか。

社会が変わる、学びが変わる

内閣府Webサイトより引用

 今年6月、文部科学省は『Society 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会』のまとめとして、「Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」を発表しました。

 Society5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のこと。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

 内閣府のWebサイトでは、「Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります」と、解説されています。

 このSociety 5.0という新たな社会で、共通して求められる力は何なのか、社会を牽引していくためにどのような人材が必要か等について、社会像を具体的に描きながら議論したまとめが今回の報告書です。

 社会が変われば働き方も変わる、働き方が変われば求められる能力も当然変わってきます。報告書では、科学技術が急速に進歩し、AI等と共存していく社会の中で「人間の強み」を発揮し、AI等を使いこなしていくためには「文章や情報を正確に読み解き対話する力」や「科学的に思考・吟味し活用する力」、「価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力」が共通して求められるとし、このような力を育むためにも

・学校がこれまでの一斉一律の授業のみならず、個人の進度や能力等に応じた学びの場となること
・同一学年集団の学習に加えて、異年齢・異学年集団での協働学習が拡大していくこと

など、「学びの在り方の変革」を打ち出しています。

 取り組むべき政策の方向性としては

(1)公正に個別最適化された学びの実現
(2)基盤的な学力や情報活用能力の習得
(3)大学等における文理分断からの脱却

の3つの方向性を掲げました。

 報告書では、それぞれの方向性について「Society 5.0 に向けたリーディング・プロジェクト」として、具体的な施策を提示しています。

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山口時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長

日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。2013年~現職。

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