編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

いろんな塾のいろんなイマが見えてくる

【私塾REAL】vol.17 エイスウclub運営部会 匿名リポート後編

  6月13日の午後、東京日比谷の帝国ホテル「蘭の間」において、三重県の大手塾「eisu group」(山本 千秋代表)主催の「民間教育経営者のためのエグゼクティブ経営開発クラブ」である「エイスウclub運営部会」が開かれた。今回の私塾REALは、全国主要塾から発表された近況と塾の生産性向上についてリポートした。(主催者との約束により、塾名と発表者は匿名。地域も特定しない)

N塾「講師の質を維持して挽回へ」

 生徒は目標校に合格しているが、講師の質を維持しつつトップ校の合格実績を挽回したい。これまでほとんど失敗の繰り返しだったが、同時に学びもあった。自分だけで悩んで一人相撲せず、社員たちと悩みも苦しみも分かち合いながら、工夫と努力で生産性向上に努めて業績をアップさせたい。

O塾「会議を減らして教務力UP」

 新規開校したが全体の売上で前年対比数%マイナス。昨年が良過ぎたと思うようにしているが、大学受験の高等部を今夏に向けて盛り返すのが課題。会議を削減して社員の移動の無駄を省き、本来やるべき仕事の時間にまわしたい。特に研修は本部に呼ばず教室単位でやる方向、近い教室同士で一カ所に集まってやることも検討している。それによって残業時間を減らす働き方改革を実現し、教務力をアップさせたい。本部が各教室のサポートすべき部分を洗い直して、できるだけ各教室で余裕を作れるようにしたい。

P塾「会議は増やしている」

 引き続き日本語学校の販促中で、アジア各国に拠点を設けられたらいいと思っている。国内では不登校生対象の通信制高校を複数校出したが、日本語学校の販促中に各国から通信制高校のノウハウが欲しいという希望が出て、新しいビジネスになるかもしれないと思っている。

 会議の削減はせず、皆様とは逆行するが、月2回の予算と決算会議に社員が慣れてきた。

 自治体の私学就学支援金が高額で、公立高校志望から私立高校志望にシフトして、公立高校が三次募集までするような事態に…特色ある高校しか残らなくなるのでは?

Q塾「労基法の勉強も」

 生産性向上の取り組みで大きくは次の3つです。労働時間の正確な把握、社員一人あたりの仕事量が増えたので採用を多くする(2年で200名)、現場の先生と生徒の12のエピソードを本にしてみんなで読む。社員規程がほぼ全面改訂され、残業は年々減っている。また副部長以上には労働基準法についての勉強会も行っている。

R塾「生産性向上のため動画アプリ」

 内館牧子氏の「終わった人」を読んで感銘を受けた。引退して何もできない男は、みじめだと思うからジムにも行けない。世代交代は必要だが、それを自分に置き換えてみると切実な思いも少しある。

 先生が生徒一人に対してどれだけ教えられるのか?1クラスの人数をどれだけ増やせるのか?人をおろそかにせず、デジタル化で生産性向上を図るため、動画アプリを導入した。ティーチングからコーチングになり、どれだけ先生が生徒に向き合える時間が増えるのか期待している。

S塾「独立心の強い社員増やしたい」

 会社や社員、生徒や父母に関してのデータを一番持っているのは私だが、それを開示しつつ、どれだけ社員一人ひとりが自分で考えて行動できるかが大事だと思う。その一環で、夏のチラシは各校舎の責任者に一任した。試行錯誤して改善してくれればと思っている。今後もできるだけ独立心の強い社員を増やしていきたい。

T塾「中間層に加えて上位と下位層も取り込みたい」

 昨年、集団、集団と個別など新規4校開校して売上的には108%だったが、今年は既存校が不調で利益率も低いので貧乏暇無し(笑)。占有率を高めるため、これまでメインターゲットにしてきた中間層に加えて、上位層と下位層も取り込んでいきたい。それには教務力を高めて合格実績を積み上げれば運営も楽になる。塾業界はブラックのイメージが漂っているがうちだけはホワイトで人材も採用していきたい。また、仕事の中身を改善し、退社時間を早めて社員の定着率と満足度も高めたい。

U塾「顧客とどれだけ心を通じ合えるかが大事」

 かつて集団指導部門が売上の柱であったが、最近は個別指導がそれに取って代わり売上全体の7割を占めるまでになった。個別指導がどこまで牽引してくれるのかが今後は心配になる。そこで、介護や保育園、そして日本語学校など塾以外の部門にも力を入れており、人材も多彩な顔ぶれになってきている。全体でいえば、0歳から18歳の学齢にプラス大人を対象としたビジネスで生き残っていきたい。いろいろな部門でクレーム対応にどう応えるのか? スタッフが顧客と心が通じてない場合があり、それをどれだけ減らすかが最優先課題だ。まずは、社員を孤独な仕事に追い込まないことか。

V塾「塾って良い仕事!!」

 人生で初めて満員電車に乗って感じたのは「塾って良い仕事だな」ということ。それをもっと社員に感じさせてあげたい(笑)。生徒数に比して社員は少なく、生産性が高く年収レベルも高い。他塾からの転職者も驚いて辞めない。今後も適正な教室運営を維持していきたい。