編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:湯浅 浩章 代表、天野 玄樹 代表代行、田中 建太郎 ユニバーハイスクール 責任者(神奈川県)

【学習塾ユニバースクール・ 『大学受験を目指す』 ユニバーハイスクール】『頑張る生徒を全力で応援したい』

 東急田園都市線の宮前台駅にある「学習塾ユニバースクール」は、20以上の教材やツールを導入して、指導に活用したり実験的な使用を行ったりしているユニークな塾だ。
 周囲には神奈川や東京の大手塾の教室がひしめいているが、湯浅氏たちは一向に気にしない。まさに「我が道を行く」である。その姿勢の根拠とこれからの方向性などについて取材した。
 写真中央が湯浅浩章代表。その左が代表代行の天野玄樹氏、右端がユニバーハイスクール責任者の田中建太郎氏

開校4年目にしてほぼ口コミで生徒が入塾

千葉 開校年月、学年別の生徒数、生徒の学力層について教えてください。3月にはじめて3年間教えた卒塾生が出ましたが、進学実績という面からの手ごたえはいかがですか。

湯浅 まだ開校4年目で今春初めて卒業生も出た新しい塾です。生徒数はユニバースクールの小学3年生から中学3年生が90名で、今春からスタートした高等部が35名です。自習室も完備しています。

 中学受験はしないいわゆる「非受験層」で学力的には中下位層ということになります。目標校といいますか、本人が希望する第一志望校への合格はほぼ達成したという充実感はあります。

 チラシなど広告宣伝はほとんどせず、ほぼ口コミです。最近の保護者の方は事前リサーチを徹底していらっしゃるというか、いわゆる問い合わせの段階ですでに塾の内容をほぼ知り尽くしているケースが多いと感じます。

 そのためネットで見られていることを意識しつつ、講座や講師紹介など入口別に情報発信するようにしています。今の時代は、インターネットでラジオ番組風にエンドユーザーとつながってリアルな対応ができるのがいいですね。

直接先生が生徒と話す時間を増やしたい

千葉 さまざまな教材を入れていらっしゃいますが、具体的にはどのように指導に活用していますか。また、こういった最先端の教材についての情報はどこから入手されたのですか。

湯浅 生徒の保護者の方が塾に何を求めているのか? やはり自分の子の面倒をしっかりみてほしいということだと思います。たくさん生徒はいるだろうけれども、指導の際に少しでも多くの時間、自分の子に目をかけてほしいというのが親としての本音です。特に大手塾から転塾してきた子とのコミュニケーションは密にしています。その次に成績向上ということになるので、たくさんの教材やツールを使ってみて、生徒一人ひとりにできるだけ合うもの、相性の良いものを選択して使えるようにしています。

 また、大手塾からの転塾組は何か悩みや弱みを持って入塾してくるので、教材やツールだけではなく、まず勉強への取り組み方を優しく指導するとか勉強をやる気になるまで話を聞いてあげるとか、生徒一人ひとりに気をつけるようにしています。

 教材やツールは、指導の現場で「こんなものがあったらいいな」と思ったらすぐにGoogleなどネット検索して興味が湧いたらすぐに代表者に会いに行ったり、資料を取り寄せて使ってみたりしています。すぐに生徒に活用するのではなく、私たちスタッフがまず使い倒してみて楽しく使えるものであれば生徒に使ってもらうという手順にしています。

千葉 そういった教材やツールを使って、いわゆる「集団個別」のような対応をされていることがよくわかりましたが、今後に向けて何か改善点などはありますか?

湯浅 私たちは生徒一人ひとりの満足度を追求しているので、集団だけだと厳しいということがわかっています。1クラス20名の生徒だと、どうしても一人ひとりの差を埋めていく必要があり、何種類もの教材やツールはそのために活用したいのです。繰り返し観ることができる映像教材などで先生が直接指導できる時間を増やして生徒のモチベーションを高めて、結果として塾全体の力を高めれば、大手塾に対抗できて、そこから転塾してくる生徒にも自信を持たせることができると思っています。

教育改革にはワクワクドキドキしている・・・

千葉 2020年の教育改革は、塾にとって大きな転換点になりますが、2020に向けた、対策や独自の取り組みなどをされていらっしゃいますか。

湯浅 教育改革はかなり前倒しで行われているようですが、私たちとしては正直ワクワクドキドキです。簡単に言えば、これまでの「知識偏重」型の教育からの脱却を目指す教育改革ですから、それによって生徒一人ひとりの人間力や個性といったものをどれだけ引き出すことができるのか楽しみなのです。

 現在、キャリア教育授業ということで、中学生を対象として「未来デザイン講座」を開設していますが、答えのない問題への対応、テーマを自分で考えてチームで改善していくというような試みをやっています。テーマや課題に対して自分がどうしていくかを自分の言葉で仲間や指導陣に説明する、いわば自分の覚悟を聞いてもらったり、宣言を聞いてもらったりする場です。これは有名な「すごい会議」をベースにしています。

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