【森上 展安】第3次中学受験ブーム到来へ 首都圏四模試 7月実施4.2%増

男子3.8%、女子4.6%増

 首都圏で6・7月に実施された四大模試の受験者数前年比は、男子受験者数が3.8%増、女子受験者数が4.6%増となり、来春入試での中学受験者続伸は鮮明になった。

 背景は小6人口増と2年後に迫った大学入試改革動向への受験生・保護者の対応と考えられる。

 という書き方をすると高度経済成長時代のように右肩上がりの経済状況にあるような錯覚を覚えるかもしれない。

 小学生人口増は首都圏だけの、全国的にみれば例外的な増加だ。しかも、4年後には大きく減少に転じることも明白な事実で、単純な市場拡大でなく一時的なものである。その意味で中下位校への志望増は限定的になろう。

都立一貫校が定員増か

 しかし、ここにきて大きな変化が起こりそうな要素が加わった。それは都立中高一貫校の併設型の高校募集停止の方向が決まったことだ。

 都立中高一貫校には中等教育学校タイプの高校募集をしない一貫校と、高校からの生徒を受け入れる「併設型」中高一貫校とがあり、前者は中学4クラス募集、後者は中学3クラス募集となっている。

 都教委は4月の都「検討委員会」の答申をうけて、併設型の高校募集停止を決めた模様だが、この定員削減分を中学募集に回すのかどうかの決定は未だしていない。少なくとも来年募集について影響を与えそうなのはこの併設型高校募集停止による併設型5校への応募増減。中学に関しては定員変更なしなので、当面は変化がないと思われるが、合格後の手続き上は中高一貫の色が増す分だけ、この5校の定着率が高まる可能性はある。

 来年、1クラスでも中学募集に回ることになれば、公立一貫校受験者が定員増加分(=40名×5校)の5~6倍は20年入試で増加する可能性があり、その併願校となる私立中学も併願受験生が増加する可能性が高い。

新しい入試に対応する学力と業績評価

 もう一点、大学入試の本格的変化の年といわれる2 0 2 4 年入試に現在の小6生が直面することになるので、大学付属という選択の一方で、中位成績層にとっての切実なニーズは、この変化をとらえて強みに変えてくれるような方策をもつ中位の学校の選択が必要とされる。

 例えば、算数一科午後入試の来年導入校が何校か増加しそうだが、数学こそ共通テストの内容も、学校での学習も大きく変わるから、その算数入試もこれに沿ったものであれば子どもたちの可能性を大きく拓くものとして評価される。

 これについては先行している算数一科入試の中では明星学苑の算数一科入試が注目される。これは細水保浩同校小学校校長がこうした出題を意図しているとともに、東京学芸大学西村圭一教授とともにボーランド・マス的な算数・数学のコンテスト(http://bowlandjapan.org/)を広く小学生に実施して先進的で応用的な算数・数学に取り組んできているからだ。筆者自身もこのコンテストの主催者の一人として非営利のNPOで支援しているが、非常に有益な出題が試みられている。

 また、今ひとつ筆者がNPOで支援しているものに小学生グループプレゼンテーション大会がある(http://loginication-japan.org/)。これは小学生の国語の読解力が年々落ちていき、まさに新井紀子氏の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』ではないが、従来の受け身の国語とは違って、資料や反対意見を批判的に読み込んで、しかもグループの協同で意見を形成していくスタイルによるプレゼンテーションコンテストだ。国語への取り組みを活性化させるもので、いわばそうした質をもった国語の入試、あるいは適性型の総合入試として国語入試が組み立てられていると、そこにはやはり入学後の指導への期待が高まるのではないかと思う。

1 2

森上 展安(もりがみ のぶやす)

1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

morigami
▼『森上展安』の過去記事を読む

【2018/8月】「生き残り戦略セミナー」 に寄せて 近年の学校改革の進展

【2018/7月】早大3学部共通テスト、外部テスト導入公表「私大文系」の転換点

   ≫さらに読む