【山口 時雄】第24回 高等学校学習指導要領における「情報科」で学校を変える

学習指導要領は、国公立・私立を問わず適用されるものですが、私立の高等学校ではさほど重要視されていないという話を聞きます。もちろん、独自の校風に従って教育を実践するのが私立学校の特徴なのでしょうが、これからの時代「伝統」や「校風」だけで生き残っていけるでしょうか。時代の変化を反映して導入された新しい「情報科」、その目指すところを探ってみました。

 文部科学省は今年3月、高等学校の次期学習指導要領を告示しました。そして7月に、学習指導要領「生きる力」高等学校学習指導要領解説を公開しました。今回はこの解説から「情報篇」の概要を紹介します。

 まず、資料が公開された文部科学省のWebサイトを見ると、「総則」にはじまり「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」などが並び、「情報」が2つあります。「情報(各学科に共通する教科)」と「情報(主として専門学科において開設される教科)」です。

 共通教科情報科(各学科に共通する教科)の科目構成については、これまでの学習指導要領にある2科目からの選択必履修を改め、全ての生徒共通の必履修科目としての「情報I」を設けるとともに、「情報I」において培った基礎の上に、「情報I」の発展的な選択科目としての「情報II」を設けました。生徒全員の情報活用能力を高めるとともに、より高度に学びたい生徒にも対応できる内容となります。

 「情報I」では,プログラミング、モデル化とシミュレーション、ネットワーク(関連して情報セキュリティを扱う)とデータベースの基礎といった基本的な情報技術と情報を扱う方法、コンテンツの制作・発信の基礎となる情報デザイン、さらに、この科目の導入として、情報モラルを身に付けさせ情報社会と人間との関わりについても考えさせる学びを。

 「情報II」では、情報システム、ビッグデータやより多様なコンテンツを扱うとともに、情報技術の発展の経緯と情報社会の進展との関わり、更に人工知能やネットワークに接続された機器等の技術と今日あるいは将来の社会との関わりについて考えさせる学びとなっています。

 話の順番が逆になってしまったかもしれませんが、そもそも情報教育の中での共通教科情報科の位置付けはどうなっているのでしょうか。情報教育とは情報活用能力を育む教育のことです。

 情報活用能力を整理すると、「情報活用の実践力」、「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態度」の3点だと解説では述べています。

1)「情報活用の実践力」とは、課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し,受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力のこと。

2) 「情報の科学的な理解」とは、情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解のこと。

3)「情報社会に参画する態度」とは、社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度のこと。

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山口時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長

日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。2013年~現職。

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