【森上 展安】2020年 高大接続改革と中高入試「入試」から「選抜」へ

 2020年の高大接続改革を機に、「入試」という言葉を「選抜」に用語を統一することになるそうだが、同じように人々の頭の中から「入試」という言葉が消えるかというとそれは今のままでは難しいと思われる。何となれば、既に「入試」が「学力の質」を保証するのでなく単に「生徒の量(人数)」を調整するだけになって、本来の選抜機能が働かなくなっているにもかかわらず、「入試」に相当のエネルギーが費やされているからだ。

 しかし実際には大学入試と同様に高校入試も難関上位校(大学附属と公立名門校)でこそまだ倍率はあるが、今後は急速にその倍率も消滅しよう。その時点でも尚、選抜の質を維持できる仕組みを今から用意すべきだろう。

選抜の「量」にこだわる現状

 東京23区定員厳格化で、MARCHを始めとした有名私大は今後10年間軒並み難化の波が襲うだろうが、現状の一般入試問題のような入試問題を突破する学力は大量処理、一発合格処理の時代の遺産である「脈絡のない知識」の記憶力のチェックに過ぎない―とまで言い切れないにしても入試問題に過剰適応した能力をチェックするという面が多分にある選抜だ。

 定員を厳守しようとすれば集団準拠で分散を測定し、偏差値で輪切りするのが現実的なことはいうまでもない。

 しかし、入試までの間に業者テスト、塾内テスト等で偏差値で冷却され、序列化された受験生が測定通り分散して受験したところで、受験生集団が合格者集団より相当程度大きくなければ、入試そのものは単なる能力別クラス形成(トラッキング)のためのテストと変わらない。

 それはうまくクラスサイズ(即ちこの場合は定員)に合うような量に分配したに過ぎず、何ら学びの質を測定したものではない。当然ながら全入に近い状況になれば集団の質を保証してはくれない。

 〇〇高校に合格しましたということがあたかも学力に保証を与えたかのように聞こえるものの名存実亡となっていることは論を俟たない。

 こういう状況に今やほとんどの中位校の入試状況が中学入試、高校入試において起こりつつあるのが現実である。

一貫化する学校

  勿論、少子化に伴う全入化の弊害を防ぐために入試制度も変化に対応してきている。

 近年の大きな動きは中高一貫化であって、これまでの高校定員480人を半減させ中高一貫にしてヨコ長をタテ長に等積変形する変革だった。これによって一貫した学びが可能になり、しかも少人数のためよく目が行き届き、何より指導の期間の中長期化でより充実した指導ができることは大きな収穫といえた。

 改めて今回仕事の必要があって、全国の高校の様子をチェックしたが、特に地方において県立高校が中高一貫の「中等教育学校」や「併設型中高一貫校化」するところが目についた。

 これによって高校「入試」がなくなったのであり、高校「入試」がその分削減されたのだ。

 今一つがいわゆる推薦入試の拡大であるが、反面からいえばこれも「入試」の削減であることも間違いない。

 加えて入試そのものでも二段構えのところが少なくない。つまり同じ普通科でも「理数科」とか「探求科」に不合格でも普通科としては合格にするといったやり方でセーフティーネットを作る入試方法が案外多い。

 又、地方の公立高校と公立中学が連携型中高一貫をする制度もそれなりにあって、ここでも実質的に「高校入試」はなくなっている。

 私立については、やはり大学系列校の増加は目につく。新設されたり(早稲田佐賀)リニューアルオープンであったり(早稲田摂陵他)それは様々だが、これも中高一貫校の場合は「高校入試」の廃止であり、併設型中高一貫校ならば「高校入試」の削減である。
 

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