【林 隆樹】グローバル人材の必要性と実態

― 保護者を満足させ受験を見据えた海外留学のすすめと取り組み方 ―

続・日本的な世界観

 前回はこれからの世界に役立つ可能性のある「日本的な世界観」の例を仏教を中心に司馬遼太郎の挙げていた「華厳哲学」と私が偶々遭遇した「大谷派東本願寺の親鸞750回御遠忌(2011年)」のテーマ「今、いのちがあなたを生きている」の2つを挙げて説明しました。

 そして、予想はしていたのですが、果たして、読者の方から、仏教もよいが神道はどうしたのか…とのご指摘を頂きました。貴重なご意見で、勿論、私が「神道」について解説できる能力があるはずもないのですが、ご紹介というだけでも少しはお役にたてるかもしれませんので、主に他宗教・他文化との比較と観点からこの紙面で出来る範囲でご紹介しておきましょう。実はこの私教育新聞の66号で「“Itrains.”≠雨が降る。」の話をして、日本はアニミズムの国であるから雨(物)が意志あるものの如く主語となる…と書いた時、イメージしていたのは神道だったのですが。

続々「世界に日本が存在してよかったと思う時代」のために

・世界と日本の宗教の信者の割合

Pew Reserch Center 2015年

 ここで神道にふれる前に世界と日本の宗教の信者の割合を見てみましょう。

 この宗教についての調査自体が実は錯綜を極めていて、例えば、2015年のロイター通信社の「世界の宗教動向に関する調査」では、キリスト教(23億人)、イスラム教(18億人)に続き、「無宗教(12億人)」が3番目に多い、という発表があります。ある意味納得なのですが、この「無宗教人口」の6割は中国が占めているとのことです。(勿論「共産主義」は宗教を否定するわけですが、この事も大変興味深い問題を含んでいると思います。)

 そして、日本では人口の半数以上に当たる約7,200万人が無宗教で、中国の次に多いということです。

 或る意味比較的納得できる数字かと思います。

 ここでちょっと注釈的に無宗教者と無神論者についてコメントをしておきます。無宗教者=特に意識して○○宗という宗教を信仰していない。定期的に宗教的な行為をしていない。無神論者=「神・仏」の存在を信じない(ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」のイワンを想像して頂くと解かりやすいかと思います)。高校生の留学で、例えばアメリカに提出する個人プロフィールの中に「宗教」の項目があります。偶に生徒で辞書で調べたのでしょう “Atheist”(無神論者)と記入してくる生徒がいます。そのご家庭に特に、仏壇もなく神棚もないのでしょうが、「お墓参り或いは初詣は行きますか?」と尋ねると、100%の生徒が「行きます。」と答えるわけですが、それなら“Buddhist”或いは”Shintoist”とお書きなさい、と指導して、この「無宗教」と「無神論者」の話をします。アメリカで“Atheist”を標榜すれば、悪魔(この言い方も問題ですが)のような存在に思われるはずです。

 さて、前記と同じ調査の続編が(2015年4月6日)の日本経済新聞に出ていました。

 『世界人口をキリスト教、イスラム教、ヒンズー教、仏教、ユダヤ教、伝統宗教、その他宗教、無信仰の8つに分類。地域別などに人口動態を調査し、2010年から2050年まで40年間の変動予測を作成した。

 2010年のキリスト教徒は約21億7千万人、イスラム教徒は約16億人で、それぞれ世界人口の31.4%と23.2%を占めた。イスラム教徒が住む地域の出生率が高いことなどから、2050年になるとイスラム教徒は27億6千万人(29.7%)となり、キリスト教徒の29億2千万人(31.4%)に人数と比率で急接近する。

 40年間のイスラム教徒の増加率は73%で、キリスト教徒やヒンズー教徒の増加率の2倍以上に達する。

 現在、世界最大のイスラム教国はインドネシアだが、調査は50年にはインドがヒンズー教徒の優位を保ちつつ、イスラム教徒の数が世界最多の国になると予測している。

 2050年までの変動がその後も継続すると仮定した場合、2070年にはイスラム教徒とキリスト教徒が世界人口の32.3%ずつで拮抗し、2100年にはイスラム教徒が35%に達してキリスト教徒を1ポイント上回ると予測している。』

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林 隆樹(はやし りゅうき)

(一社)日本青少年育成協会 理事・国際交流委員会委員長

1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院在学中にフランスに1年間留学、帰国後翻訳会社に勤務。

1992年、サンフランシスコに本社を持ち、世界各国に展開する英語学校の日本支社長に就任。

以降、留学業界で活躍。2001年社団法人日本青少年育成協会国際交流委員会、2004年より同協会理事に就任、現在にいたる。

2000年より一般社団法人JAOS海外留学協議会事務局長、2013年より専務理事。

2011年、一般社団法人J-CROSS留学サービス審査機構の立ち上げにかかわり同機構理事。

2014年より、特定非営利活動法人文際交流協会理事。2017年より学校法人イーストウェスト日本語学校理事。著書に「成功する留学、交換留学編」(共著)などがある。

hayashi

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