編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

いろんな塾のいろんなイマが見えてくる

【私塾REAL】vol.19 エイスウclub 2018 第三回運営部会 レポート前編

 9月5日(水)東京日比谷の帝国ホテルにおいて、全国主要塾が集う「エイスウclub」運営部会が開かれた。全国主要塾の近況と教育のICT化への対応(EdTech)などをレポートする前編をお届けする。出席者の都合により、塾名は匿名とし地域も特定しない。

■eisu group 山本千秋代表の挨拶
「1990年代にスタートして28年、本日が111回目です。台風一過ですが、関西方面の方が数人欠席されています。お忙しい中、本日お集まりいただいた方には感謝いたします。
本日、EdTechをテーマに、子どもたちの為によりよい教育を皆さんと目指したいと思います。そこで、KLabという東証一部のゲームコンテンツメーカーのグループ子会社として、教育コンテンツを開発販売しているSixCentsという会社とデイビットセイン英語ジムが提携しましたので、登壇していただきたいと思います」

■Six Cents文鎔柱氏
「本社のKLabは六本木ヒルズにありまして、スマホのゲームやアプリで東証一部に上場しました。キャプテン翼等のゲームでご存知の方もおられるかと思います。当社Six CentsはEdTech事業に取り組んでおり、デイビットセインジムと提携したコンテンツや教育アプリケーションが間もなく公開されます。約20種類の学習法が用意されており、知識だけの英語学習ではなく、コミュニケーション重視の英語学習となっております」

■デイビット・セイン氏
「2020年に向けて英語4技能とか重視されていますが、これは会話ベースの英語であり、知識中心主義の英語ではなく、コミュニケーションやトレーニング重視の英語でないといけません。人材不足かもしれませんが、ITだけでイノベーションは危険です。今回のアプリケーションは会話ベースで、学習法も20種類あるので、是非一度体験していただいて導入を検討してほしいと思います」

A塾

■内定研修で学習塾講師の資格取得
 「ドコモの教育ICT セミナーに参加してきました。当県では、小学校の教育委員会が学校のICT化を進めています。先生はティーチャーではなくファシリテーターという立ち位置になっています。塾もそれをふまえて改善していく必要があると考えます。

 人材については、内定研修で4名指導していますが、彼等をどうやって定着させるかが課題です。6月にJJA公益社団法人全国学習塾協会の『学習塾講師検定制度』の3級の資格取得を目指して指導し受検してもらったところ全員合格し、全員が塾に来てくれることが決定しました。やはり資格という具体的なものを利用することが大事かなと思いました。

 インターンシップも大学3年生を9月から受け入れて就活体験ということで1日7時間働いてもらっていますが、思い切って中学受験の小学生の面談をやってもらうことにしました。塾業界に人材を引っ張るためには、こうした事に取り組んでいかないといけないと考えています」

B塾

■塾の理念を社員全員がきちんと語れるかがキーワード
 「夏期講習は芳しくなかったのですが、少ない分? 継続は順調で数値を挽回しつつあります。小学校の低学年の動きが鈍く、その原因が商品パッケージの魅力の無さなのか、夏期講習の設定なのか、もう一度塾の魅力自体を点検して、必要とされる塾作りを心がけたいと思っています。

 塾の理念はちゃんとしていますが、それを社員に徹底させないことには、チラシと違うぞと言われたりします。社員が誰でも生徒の親の前で塾の理念を堂々と語れなければいけないので、そのための研修システム作りもしたいと思っています。これが徹底されれば、ICT化が進んでも塾として明確な姿勢で動くことが出来ると思っています」

C塾

■チョーク1本で生徒を引きつけて来た先生・・・
 「夏期講習は前年とほぼ同数。年度初め悪かったのですが夏期講習で補う構図は変わりません。もう一度課題を洗い出して講座等の見直しをしたいと思います。

 ICT活用では、電子黒板やデジタルコンテンツの導入により、先生の自信が失われつつあることが心配です。これまでチョーク1本で生徒指導してきた経験値しかない人が多く、自分の力で生徒を引きつけているという自負があったわけですが、それが崩れつつあり、それをどうするかが喫緊の課題です」

D塾

■今年は違う・・・が、ピンチはチャンス
「この10年右肩上がりで順調に伸びてきましたが、今年は違うという感じがしています。トップの現役合格がはじめて落ちたからです。永遠に右肩上がりということはないので、一休みでまた伸びていくと思います。

 働き方改革もあり、大学も入試制度も変わってきており、教育企業の経営ルールも変化せざるをえない時代です。しかしピンチはチャンスであり、いろんなシーンで新たなビジネスチャンスがあると確信しています。ただし生徒やその親も変化しており、うちに出来ることは何か? 何を求めて来てくれているのか? 引き続き新たな提案をしていきたいと思っています。ブレない部分は生徒の第一志望校に合格させるという部分ですね。2020年問題では、そろそろ不動産もリミットになりつつあり、景気変動にも要注意です。たくさんのコンテンツの中から取捨選択して、教育のICT化に取り組んでいきます」

E塾

■経産省や文科省からも注目されるコンテンツを開発
「病気でずっと寝ていた父が、8月22日に他界しました。どなたにも知らせず身内だけで葬儀を行いました。65年前に塾を創立し、ずっと走り続けてきた父ですが、私の代となり、仕事からは遠ざかっていました。お世話になった皆様にはこの場を借りまして深く御礼申し上げます。

 EdTechは当社のグループ子会社において長年取り組んできた課題でもありまして、後ほど新しいご提案があると思いますので宜しくお願いいたします。これは経済産業省にもプレゼンしてとてもよい反応を得ています。また富士通と提携して開発した日本語教育のコンテンツについて文科省からオファーもありました。

 順調なデジタルコンテンツですが、スマホの依存症は深刻です。大人だけでなく生徒たちにも便利なツールですが、便利な分誘惑も多いのです。教育コンテンツがいくら良いものでも、それを優先して使えるかがポイントになると思います。当社も小中生にタブレットを渡してアプリ等で学習していますが、英語学習をはじめ、これはこれでとても効果があります。特に英検対策は自学自習が理想であり、現在7〜8割の完成度ですが、早急に質を高めたいと思っていますので、宜しくお願いします。ICT化による先生の役割の変化ですが、ファシリテーターとして生徒のサポートがきちんと出来るように研修していきたいと考えています。教えすぎず、いかに生徒に自学自習の大切さと必要性を自覚させていくかが大事だと思います。スマホやタブレットをどう使っているかという実態調査もふまえつつ、その使い分けを現場に徹底させて、乖離が生じないよう進んでいきたいと思っています」