編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:松下 仁 代表 (株式会社TEP)(愛知県)

【株式会社TEP】自立した人間に育てる 社会に貢献する人間を育てる

 豊川稲荷のある豊川市は、人口約18万人の商業都市であり、門前町でもある。
 しかし、「穂ノ原」地区には工業地帯が広がり、郊外には自衛隊の駐屯地もあることから、愛知県の東部でもかなり活気のある都市になっている。
 進学塾TEPは、ここで30年を越えて地域の私教育を担い、生徒たちの学力と人間力向上を支えてきた。創業者でもある松下仁社長は、67歳だが、若々しい容姿はここ数年変わらない。年に100日しか出社しないという松下氏に現状と今後の課題などを聞いた。

※豊川市の豊川稲荷の本殿は寺院であるが境内に神社の社もある。ちなみに、東京赤坂の豊川稲荷東京別院も寺院である。江戸時代から稲荷信仰は盛んであったが、大岡越前の屋敷内に当初は別院があったため、商売繁盛だけでなく、立身出世と盗難除けとしても崇められたという。

愛知県と静岡県に30拠点

千葉 創立・開校年月、教室数、生徒数、展開している事業部門と主力部門、生徒の学力層について教えてください。

松下 愛知大学の法系学部で国際法を専攻していましたが、1年間休学してオックスフォードにある語学学校に入り語学を学んできました。卒業後の1974年に松下英語塾として、豊川市の実家の敷地内を借りて開塾。生徒は6人でした。14年後の1988年、平成元年に法人化して「株式会社TEP」として、今日に至っています。

 豊川市に6拠点、豊橋市に10拠点、田原氏と蒲郡市、新城市にそれぞれ1拠点、岡崎市に4拠点、ほかに刈谷、知立、一宮、浜松、磐田、藤枝などに7拠点の合計30拠点がありまして、愛知県と静岡県の2県での展開となっています。

 小中高で生徒数は2400から2500名です。正社員は70名弱、ほかに非常勤講師として東進衛星予備校の学生チューターが約100名います。名古屋大学や静岡大学、そして愛知教育大学などの学生で7~8割は卒塾生です。

個別指導は全員正社員講師

千葉 集団指導と個別指導、ICT教育のバランスと今後注力すべき指導形態について教えてください。

松下 東進の高校部門は、難関大学の受験指導が柱ですが、地域トップ高校は時習館高校と岡崎高校が代表的な高校で、浪人してでも名古屋大学を目指すという方針もあるかのように聞いています。

 中学受験の四谷大塚のコースを7年ほど我慢して続けてようやく黒字化させ、生徒数も60〜70名となりました。これを東進中学NETにつなげて先取り学習を継続させ、高校部へとつなげたい。

 個別指導の「TEP個別教室」は、原則1:4ですが、平均すると1:2.8です。学生講師は使わず全員が正社員の専任講師体制ですから、中には60代のベテラン講師もいて生徒3・4名は楽に教えています。対象は主として学力中下位層で単科から複数科目の指導まで幅広いニーズに対応しています。

 私にとっては、なにがICT教育なのか曖昧な印象ですが、タブレットを活用した学習であれば、高校部でタブレットを活用しています。東進衛星予備校のシステム自体が究極の個別指導でありかつ最新のICT化された映像授業だと思っています。膨大なデータから判定ができるので、生徒も私たちも助かっています。生徒の進路は名古屋大学をメインとして、次に関東、そして関西の順に進学していきます。

社会で歴史観を問う問題が増えるべきである

千葉 2020年の教育改革は、塾にとって大きな転換点になりますが、「2020」に向けた、対策や独自の取り組みなどをされていらっしゃいますか。

松下 私たちよりも地域の学校の先生たちが困っているようですね・・・。

 英語を指導していた私の個人的な考えですが、英語4技能のうちヒヤリングがもう少し比重を大きくした方がよいのではないかと思います。長文読解よりもヒヤリングの方が生徒の英語力をより明確に判定できるのではないかと思うからです。

 また入試改革においては、知識偏重の感がある社会でもう少し歴史観のようなもののベースを学んで、それを問う問題が欲しいと思っています。

 面接というのは面接官の主義主張、宗教観や政治観などにより判定が複雑になりますから、対策も困難になっていくのではないかと思います。

 これは余談ですが、30年ほど前、とある地方の教育委員会で英語のネイティブ講師を招いて県内の英語の先生を研修しましたが、「pull(引っ張る)」の発音が最後までわからなかった先生がいたそうです。ネイティブの発音で英語を教わっていない先生ばかりなので、講師が何を言っているのか理解できなかったのです。このように、英語指導については、教える先生の教育をどうするかという問題も含まれています。

1 2