【横手 尚子】“世界に通じるマナーとコミュニケーション” ― 教育編(3) ―
前回10月号では、「発音の重要性」とクラスで実践している「発音の改善法」について言及しました。今回は私の英語のクラスでもう一つの柱となっている「音読・暗唱」についてお伝えしたいと思います。
「音読・暗唱」の重要性について
各クラスの目的や興味に適した音読素材を用い、徹底的に音読を繰り返すことで、発音とスピーキング力を養うことができます。これはスピーキングに自信のない人ほど効果的です。ひとたび英語が口から流れるように出る快感を味わうと、学びたいという気持ちが更に強くなります。この時に気をつけているのは英文の質です。
単語も文法もなるべくシンプルなものから入ることが原則。それを踏まえた上で、例えば接客業を目指す方には現場ですぐに使える実用的なフレーズ(相手の心に響く表現)を、また一般的なスピーキングを学びたい方には「心を動かす」フレーズや「英語で思う力(すなわち自分の心を動かす英語)」を育てる言い回しを音読演習します。
ここで私が重視しているのは、私自身も生徒と一緒になって同じかそれ以上に練習をすることです。生徒と共に音読を繰り返し、「意識の中に“日本語がなくなるまで”」練習を重ねていきます。
そうすることで、英語が自然と口から出る心地よさを味わうことができるようになっていきます。そして英語がいずれ忘れる知識ではなく、「忘れ方さえ分からない」スキルとなり自信を得る手段となるのです。
自信があれば、「もっともっと覚えたい」という気持ちになっていきます。
現在使用しているテキストはシンプルですがスピーキングにおいて非常に使いまわしがきき、感情に訴える表現が満載の桐原書店刊「“スピーキング”のための音読総演習」です。英語で「思う」力を養うというコンセプトで書かれています。
著者の横山カズ氏は英語を日本国内で独学し、同時通訳者になったということです。

ひとつ、敬愛大学生涯学習講座で感動した「音読総演習」にまつわるエピソードをお伝えしたいと思います。
敬愛大学生涯学習講座「発音とスピーキング力強化のためのクラス」は、初級者対象で、中高年の主婦や定年退職された元小学校教諭の方などがいらっしゃいます。
受講理由は、①2020ボランティアをしたいから、②英会話力を身につけるという若い頃に果たせなかった(やり残した)夢に再び挑戦したいから、③発音が不得手なので
ブラッシュアップしたいから、④英語が好き(趣味)だから、など様々です。そして全員に共通していることは、英語への憧れが強く、英語学習への熱意とモチベーションが非常に高いということです。