【山口 時雄】第26回 教師はなくなる職業!? 学校にAIがやってくる

私たちの知らないところで難しい計算や制御をしてくれるのは「電子計算機」や「マイコン」、「コンピューター」や「プログラム」というものでした。最近では「AI」というものが電気釜や冷蔵庫、エアコンといった家電製品の制御から、自動車や航空機の操縦までやってくれる。また、AI的な機能を持ったロボットが自動車の製造ラインや掃除、お寿司の握りやホテルの受付などで活躍しています。教育現場へのAIの導入で教師がいらなくなるって、本当!?

 AIとはArtificial Intelligenceの略で「人工知能」のことです。AIには、人間の知能に迫って同様の仕事ができるような幅広い知能と自意識を持つと言われる「汎用人工知能」と人間の能力のある部分や特定の分野に特化した「特化型人工知能」があります。2045年に訪れると予測されているシンギュラリティ(技術的特異点)は、「汎用人工知能」が人間の脳の能力を超えることで、その真偽は学者や研究者の見解が分かれるところです。2018年の時点で、まだ「汎用人工知能」はできていません。一方の「特化型人工知能」はめざましい発展を遂げています。チェスや囲碁、将棋といった人類の中では知能が高い人たちが職業としている分野では既に、AIが名人クラスを破っています。スマートフォンやスマートスピーカーでユーザーの要望に的確に答えてくれるのも、客からの電話での問合せやクレームに答えるのも、1秒間で株の売買を決断するのも、一人ひとりの子どもたちに最適な学習方法を提供するのもAIの得意分野となっています。

 20世紀の産業を発展させた高度で緻密なコンピューターの「プログラム」とAIはどこが違うのでしょうか。いま活躍しているAI=「特化型人工知能」の特徴は「機械学習」です。

 「機械学習」とは、最初に人がすべてをプログラミングするのではなく、大量のデータをAIが自分で解析して、法則性やルールを見つけ出すというもので、まさに「学習」を積み上げていくものです。もちろん、データの解析方法などの「学び方」は人がプログラムで指示しています。この学び方などのプログラムなしで、AI自身が自分の判断で学んでいく「ディープラーニング」が実現すると、「汎用人工知能」~「シンギュラリティ」となっていくのかもしれません。

 AIを活用した学習システムを2つ紹介します。1つは「すらら」です。「すらら」は、アダプティブ・ラーニングやゲーミフィケーションの要素を取り入れた対話型アニメーションのeラーニングです。一番の特徴は、一人ひとりのペースや学力レベルに合わせて問題を出し、学習計画を立てていけるようなオーダーメイド学習、いわゆるアダプティブ・ラーニングだということです。AIは一人ひとりに対応するために様々に活用されていますが、例えばこんなことができます。中学1年生が数学の問題を解いていて、ある分野になると苦手だということが明らかになります。すると「すらら」は、苦手の原因を履歴から探って特定します。例えば原因を「分数と分数のかけ算ができない」と特定すると、小学校の問題から「分数×分数」の問題を選んで分かるまで繰り返し出題して、いま解けない問題の原因から解決します。「すらら」は、小学校1年生から高校3年生までを対象に国語・英語・数学(算数)の3教科を提供していて、現在導入している学習塾数が690校以上、学校では150校以上で利用されています(2018年度第2四半期時点)。

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