編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

いろんな塾のいろんなイマが見えてくる

【私塾REAL】エイスウclub 2018 第三回運営部会 レポート後編 (前編は69号に掲載)

 9月5日(水)東京日比谷の帝国ホテルにおいて、全国主要塾が集う「エイスウclub」運営部会が開かれた。全国主要塾の近況と教育のICT化への対応(Ed Tech)などをレポートする後編をお届けする。出席者の都合により、塾名は匿名とし地域も特定しない。

F塾

■家庭の所得が120~130万円は落ちている

「塾生が父親と一緒に私のところに相談にきました。国立大学に在籍している子どもがゲーマーになって世界で活躍したいから大学を中退したいと言っているので、先生から説得して考えを改めさせてほしい」と。ゲーム中毒になっている子どもの相談が一番多いのですが、この場合はゲームを天職にしたいという事なので少し違うかもしれませんね。こうしたところから今後何か生徒の進路というか人生設計についての考え方を変えていけるかもしれないと思いました。二つ話しをさせてください。一つは「EdTech」のことですが、家計で最も伸びているのが通信費です。活気のある市場の変化に教育も乗っていく必要があるかもしれません。次に夏期講習についてですがボロ負けでした(笑)良いのは高校部のみ。良かった理由は三つあります。一つは、アナログ的活動。駅前と校門配布を二倍にしました。二つ目は、トリプル構造。6月から客との面接回数増やして学力こそ一番の武器をテーマにしたセミナーに動員する。6月下旬には一般生を全国統一テストで獲得して夏の招待講習に動員する。

 生徒募集が悪い背景には三つの要因があると思います。一つは少子化、二つ目は親の所得のダウン、おそらく一世帯当たり120~130万円は落ちています。三つ目は教育への関心低下。文科省から発信されている教育改革と入試改革のしくみやスケジュールは断片的で誤解が誤解を産みやすい感じです。しかしピンチはチャンスであり、私教育しか日本の教育を変えられないという自負で仕事に取り組んでいきたいと思います」

G塾

■中学受験からどんどん撤退?!

「春は中3が動かず夏に動きました。個別は不調でパッとせず集団の教室に戻そうかなと考えているところです。前回、当県の中学受験は死んだと言いましたが、まさにいま多くの塾が中学受験の指導から撤退しています。生徒は中学受験の塾に遠くから来ません。しかしこれは逆にチャンスであり、当県の塾に対するニーズを的確に捉えた商品開発で生徒募集していくために、もう一度塾内のテコ入れを行います」

H塾

■高3で業績出しているが・・・

「上半期全体は昨年対比102~103、夏前より少しブレーキがかかっている感じがしています。とにかく現場の勢いがなく、高校部の夏も苦戦。学年の数で先が読めますが、高1,2で苦戦して高3で業績出しているので、この後が大変そう・・・継続で挽回したい。ビッグデータのアプリは大事であり、効果的に使いたい。生徒指導や進路指導にも有効です。

 現場のテコ入れも兼ねて、各教室で代講担当になっていますが、地味な現場にいると、やはり魂の込め方が結果が違ってくるという実感があります」

I塾

■日本語学校が苦戦している理由とは?

「いま社長を先頭に力を入れている日本語学校についてですが、関東地方で入管手続きが芳しくなく、急遽本日は社長が海外に営業に赴いています。今後は大学など進学先やアルバイトの斡旋なども行う予定ですが、留学生の中には手当や交通費はくれないのかと言う人もいて説明会がスムーズにいかないケースもあります。

 先日、東京英語村『TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)』を見学して素晴らしい施設に驚きました。大手塾数社が共同して運営していますが、来年の3月末まで予約が埋まっているとのことです。

 チラシが限界でサンプリングやDMが意外と好調です。今後は、日本語学校の成功を目指すことと塾や学童保育など既存のブランド力の向上、そして儲かる仕組みをどう作るか、マーケットに対する啓蒙活動と塾内の立て直しを図り、前年対比をプラスにしていきたいと思っています」

J塾

■世の中の最先端から数歩後を行きたい

「地震と台風で、ガラスの割れたた教室もあったり、シャッターが壊れた校舎もあったり、さらには授業の振替で父母に叱られたり、まさに踏んだり蹴ったりの騒ぎでした。

 デジタル化については、世の中の最先端をすぐには入れたくない。ニーズから外れないように世の中かに一歩か二歩後ろからついていきたいと思っていすます。あまり先先と行き過ぎてしまうと良い事はあまりありませんから。

 個別のフリーステップが事業の柱になっていますが、偏差値の平均は49辺りです。この生徒たちにはいきなりサア4技能行くぞとやったら皆辞めてしまいます。客離れが起きないように、とにかく5点上げてあげる指導を心がけます。いろいろ努力と工夫して、入塾の問い合わせ数が多くてもキャンセル数も多いので、目下の最優先課題は入塾率を高めることです。

 学生講師の労務についてですが、有給休暇くれとか手当もっとくれとか、小さな抵抗を試みつつ戦っては負けたり勝ったりを繰り返しているところです。保育は伸ばしたいと思っている事業ですが、申請とか認可までに時間と手間がかかり、資金もかかるし地域も限定されます。勝ち負けのものではなくゆったり構えて取り組まないといけません。日本語学校も物件次第ですが、資金をかけて2年は我慢して伸ばしていくしかありません。楽にやってきた集団指導から採算の厳しい個別、そして資金も新たな人材も必要な新規事業と、我慢の経営が必要な時代になってきました」

O塾

■本業の塾でない部門だけが好調?

「週に一度授業に入っています。若い社員から自分の授業を見て欲しいと言われて見たら、35年前と同じで驚きました。医者と同じ給料を社員に払いたいので、イノベーションに取り組みたいのですが、実態は35年前と同じ・・・一気に変えたら社員皆辞めてしまいます。デジタル化もやってるつもりでしたが、数学のテキスト見たら10年前とまったく同じ、これは変えようよと社員に言いました。集団から個別へと業態変わったが、塾はやってることが同じで、イノベーションは無理。その一方で、ロボットプログラミング講座やオンライン英会話、そしてバズル道場などは好評、つまり塾の本道ではなく、良く言えばバイパス、悪くいえばゴマカシで補完している。本業はどうやって引き込むのか?・・・これが今の大きな悩みの一つです」