【森上 展安】「はつとん」が 「校塾連携」を宣言

大阪府の初芝富田林中学校高等学校が、学校と塾との「校塾連携」を大きく打ち出した。即ち、正課の授業に教員は集中し、一方で課外の授業を学習塾と連携して実施する、というものだ。まずこの動きをフォローしておきたい。

正課を1日7時限から6時限へ

具体的には、学校は正課を1日7時限から6時限に減らし、放課後の「塾」による授業時間を確保する。これは小畑力人常務理事(教育改革担当)によれば、学校と塾それぞれの教育技術のよさと違いを生かして教え、一方で生徒のつまずきがどこにあるか双方で情報共有するという。放課後に行う「塾」による授業は「はつとんゼミ」と称し、自由参加型。中1~2年は「校内特別講座」として苦手分野の克服や得意科目の伸長を目的として実施。中3~高3は「校内予備校」として、新テストで問われる「思考力、判断力、表現力」の育成を目指す。

ただ、放課後「塾」の選択は自由とのことだが、当然学外の塾より受講料は大幅に安くなるので保護者にとって塾と学校の両方のコストから塾のコストが大幅に軽減される点は大きい。

こうしたことは従来から行われてきた校内予備校と特に違わないように思えるかもしれないが、それが単にオーソライズされているか否かということにとどまらず、正課の指導を圧縮した上で、しかもその学習状況を相互に共有するなど生徒の一人一人に双方で取り組んでいこうという仕組みがあることが頼もしい。

そして何より「働き方改革」の一方で、「高大学接続改革」の波があり、これら学校をめぐる情勢に対して、一つの現実的な解決案を示した点が大きい。これは同校の平井正朗校長のかねてからの主張で2018年4月に着任し、翌年実施としてこの方針を示したそうだ。

実際、日本の学校に限らず、生徒の問題はアフタースクールのフォローをどういう形で実現するか、ということで少なくともこの「はつとん」の新しい方針は、一つの解決策として一石を投じるものといえる。

私立小学校も 「アフタースクール」人気

伸芽会教育研究所(飯田道郎所長)によれば、今秋の小学校受験は少子化に入った首都圏の全体状況にもかかわらず、前年までの受験者数を維持した模様だ、という。即ち、小学校受験動向の観測点は筑波大附属小の出願者数の増減が一つの目安だそうで、保護者からもたらされた情報によれば、男子2032名、女子1762名、合計3794名で昨年より24名増とのこと・第一志望者が多い慶應、早稲田、学習院など大学附属は相変わらず高倍率の入試になった模様。

小学校受験の特色というべき女子校の人気校で言えば、聖心女子学院小、日本女子大附属豊明小などが高い倍率を維持しているが、いずれも全学をあげて預かり保育を徹底しており、前述した「校塾」連携の背後にあるアフタースクールニーズを系列大学の保育・幼児教育の専門家の育成という観点からも充実させようとしていることだ、という。

加えて、大学までの出口戦略に優れたところが近年の特色づけで目立っているとのことで、具体的には京都のノートルダム学院小学校が同じカトリックの洛星中学高校に進学できるとか、あるいは大阪の城星学園小学校は、大阪星光学院中高に進学できる、というように連携が進んでいる。

関東でも埼玉・浦和ルーテル学院が青山学院と提携を発表したため、昨年までの緩和した倍率状況から一挙に急上昇した、という。青山学院はこれより先、横浜英和を系列化においており、横浜英和小学校の人気が大きく上昇したように、浦和ルーテル小もいきなり高い人気をよんだ。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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