【出口 汪】子どもたちの未来のために 本気で教育業界を変える

塾業界は今や大変な危機を迎えている。ところが、この迫り来る危機に対して、あまりにも鈍感な経営者が多いように思える。

記憶と計算を中心とした旧態依然の教育、受験を全面的に押し出した古い価値観の塾、これからはグローバル社会だ、AI時代だと、流行に遅れないようにと英語の4技能やプログラミング・ロボット教材にあわてて飛びつく塾たち。

誤解ないように言っておくが、何も英語の4技能やプログラミング・ロボット教育が悪いと言いたいのではない。何のためにこうした教育を必要としているのか、そのためには何が優先されるべきなのか、こうした考察なしに上辺だけ新しい教育を取り入れても、次のステージでは淘汰されてしまうだけなのである。どこによって立つのか、足下がふらついたままでは、押し寄せてくる荒波には到底耐え切れないと思うからである。

私は今本気で教育を変えようとしている。もちろん私ひとりの力は微力なので、教育を変えようという強い意志を抱いた多くの同志たちと手を取り合って、旧態依然とした塾業界に風穴を開けるつもりである。そこで、「同志募集」を旗印に、今秋、「P(ピグマリオン)&R(論理エンジン)みらい学習教室」を立ち上げ、ライセンスパートナーを募集することにした。

旧態依然の教育の起源

では、旧態依然の教育とは何か?

その前に少し立ち止まって考えてみて欲しい。文系・理系を問わず英語英語と言われながら、これほど英語に時間を割いてもなぜまったく喋れないのか?子どもの頃から算数・数学と言われたのに、大学受験では半数以上が私立文系を選択し、二度と数学に縁がなくなってしまうのはなぜか?本当に算数・数学はそれほど大切だったのか?こうした疑問を呈することで、私たちが受けてきた教育の正体が明らかになると同時に、これからのあるべき教育の方向が多少なりとも見通せるのではないだろうか。

その答えは江戸時代の蘭学にあったのだ。江戸時代は鎖国をしていたが、オランダとは国交を結んでいた。その結果、キリスト教関係の書物以外は西洋の新しい学問・思想が次々と日本に入ることができた。ただし、それらはすべてオランダ語で書かれていたものだったので、西洋の学問とは結局オランダ語の書物を翻訳することに過ぎなかったのである。

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出口 汪(でぐち ひろし)

関西大学大学院博士課程単位修得。代々木ゼミナール、東進ハイスクールの講師を歴任し、「国語の文章を論理的に読解する手法」を授業に取り入れ、一躍カリスマ講師としての人気を博する。その後、1993年には「総合予備校S.P.S」を、2000年には教材開発・出版を目的とした「水王舎」を設立する。2003年に発行した「論理エンジン」は、国語を感覚的に解くのではなく、筋道を追って論理的に解くことの重要性を説き、全国公立私学250校以上が採用するなど、大ヒットを記録する。広島女学院大学客員教授、基礎力財団評議員。著書『はじめての論理国語(水王舎)』『出口先生の頭がよくなる漢字(水王舎)』『知っているようで知らない夏目漱石(講談社)』など著書多数。

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