【森上 展安】出口偏差値重視に舵を

私立進学率史上最高に―東京―

東京都のまとめた私立中学進学率が統計史上最高の18%となっていたことが明らかになった。これによってリーマンショック以降、沈静化した私立中進学が上昇に転じて急回復していることが鮮明になった。今春の入試動向も増加の傾向を示しており、人口増加率程度の増加にとどまるか、これを上回って進学率を更に押し上げるか、歴史的な分岐点に立っている。数年後に少子化に転じる首都圏小6人口動態を前に、この進学率だけに依存するわけにはいかないにせよ、当面のニーズ拡大は改善改革への追い風といえよう。では来るべき少子化時代を前に、果たしてどのような改善改革の方途があるだろうか。

急減したのは中下位校

その意味でこれからの需要動向にとってリーマンショック以来の沈静化の様相は大いに参考になる。即ち、リーマンショックによる沈静化によって私立中学校人気は中上位校にかたより、中下位校の応募者ひいては入学者の減少割合は大幅となり、下位に行くほど減少幅大きかった。

その実情は該当校の校数が多い女子校に顕著に表れたため、女子校を中心に共学化する学校が相次ぐことになったのは周知の通りだ。

もともと男子校は校数が少なく、その多くがいわゆる中上位校であるため、その中下位女子校の共学化は男子校へのダメージとはならず、折からの公立一貫校の拡大もあってその併願ニーズがこうした共学校へ追い風にもなった。

いわばこうしたリーマンショック以降の情勢は低コストの中学受験マーケットを生み出し、ひいては進学率拡大、史上最大の進学率達成を可能にした要因であった。

リーマンショック以前のアッパーミドル対象の中学受験マーケットを引っ張ってきたのが日能研とすれば、ロウワーミドル層の中受験マーケット拡大に貢献したのはenaだったと言えるだろう。そして今や、特に東京にあってはこの公立一貫校ニーズをすくいとった宝仙理数インターや、安田学園が特に印象的な変化を遂げて巧みに進学校化しているし、その他共学校もフォローしている。むしろ当の公立一貫校よりもトップの実績のみならず全体としてみれば、これらの適性型入試の私立進学者の合格実績が良好ではないか、と思える。(というのは、入口偏差値に対して実際の大学進学実績がやや見劣りする公立一貫校が多いからだ。)

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