【大村 伸介】人にしかできないことは何か

この記事をお読みになっているのは2月中頃、先生方におかれましては、自校の入試真っ只中、それに加え、高校3年生の大学入試への対応、卒業式初め年度終わりの様々な行事、そして新しい生徒を迎え入れる準備…まさにこの時期こそ師走と言いたくなるそんな多忙な毎日を過ごされておられるかと存じます。旧年中の御礼と新年のご挨拶を兼ねて、すでにいくつかの学校を訪問させて頂きました。

「明けましておめでとうございます、と言いたいところですが…。この先、人はどうなっていくんでしょうね」

とおっしゃられた先生がおられました。

シンギュラリティとEdtech

2045年から2050年ごろと予測されていたシンギュラリティ(技術的特異点)ですが、最新の調査によれば2030年ごろ到来と予測する研究者が最も多く、次いで多いのは2040年ごろとのことでした。実に20年程度早まって到来する可能性が高いのです。日本経済新聞社が2050年の将来に関するアンケート調査を実施し、20~40代の若手研究者男女約300人を対象に調査し、200人から回答を得た一部です。

また、昨年8月21日の読売新聞には、一面に「教育AIで個別指導文部科学省実験へつまずき解析」という見出しで、Edtech(EducationとTechnologyをかけ合わせた造語。教育現場にAIやビッグデータなどの新しいテクノロジーを持ち込んで活用する取り組み)についての記事が掲載されました。記事では、これまでは教員の目配りや積み重ねた経験による、いわば暗黙知で対応してきた生徒のつまずきですが、AIを導入することでのいわば形式知化により、経験の浅い若手教員であっても細やかな指導をしやすくすることが可能になるといった内容でした。

冒頭の先生の発言は、これらを指してのことであったわけですが、ますますAI(人工知能)が人の仕事を奪っていくことへの危惧が滲み出ています。逆の発想をしますと、AIにはできないことに特化するチャンスとも言えます。いうなれば、AIとの共存とも言える社会がすぐ目の前まで来ているわけです。

未来の教室

中学生Aさんの物語

ニュース番組で見た「日本の農業イノベーション」という話題に興味を持った。午前中は近所の農業高校で農業にAIやロボットを活用するSTEAMの探究プログラムが始まるというので少し「背伸び」をして参加してみる。オンラインで繋がれた企業のエンジニアや大学の研究者との会話は理科嫌いのAさんにはほとんど分からない。しかし、なぜかワクワクさせられて、午後はこの話についていけるようにまず理科の教科書を勉強しようと思う。午後は講義動画やAIの内蔵されたEdtechを用いて自習して、高校の生物や化学の範囲まで、興味に合わせて教材が提示されてくるので効率よくどんどん勉強が進む。この時「先生」はスマートフォンで見る講義動画の中のカリスマ塾講師と、いつも親身に質問に答えてくれる学校の教員の両方。「もっと知りたい」という気持ちが強くなったので、興味がなかった理科も最近では楽しくなった。

(2018年6月経済産業省「未来の教室」とEdtech研究会第1次提言より引用)

これは、未来社会で行われるAIやビッグデータ等の新しいテクノロジーを活用した教育はどのようになっていくかを示したもので、未来社会のある中学生1日の生活をイメージ化して説明した話です。このような学校、学びになっていくであろうというイメージではありますが、このような「未来の教室」で果たすべき教員の役割とはいったいどんなものなのでしょうか。

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大村 伸介(おおむら しんすけ)

(株)成基総研 コーチング室 室長

集団指導塾を経て、2004年株式会社成基入社。

教室長、エリアマネージャー、本部長補佐、副本部長を歴任。

現在は、教育コーチング、パパママコーチングセミナーのトップ講師として教職員研修、保護者講演会等で全国を飛び回る。

日本青少年育成協会認定上級教育コーチ・認定A級トレーナー、主任研究員

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【2019/1月】得たいものを得る

【2018/12月】仏つくって魂いれず

 

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