編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

【株式会社ヒューマレッジ木村塾】どんなに時代が変わっても木村塾は「人間教育ありき」

 尼崎市で「アホ塾」と言われた木村塾は、今では生徒や保護者から高い評価を得て、兵庫・大阪の6都市に31校、生徒数7000名を擁する大手塾となった。今回、梅田の高層ビルに本部機能を移転して、本格的な人材確保と、より広範囲な教室展開に取り組んでいる。
しかし、木村塾の「人間教育」ありきの姿勢は依然として変わらない。教育改革や教育ICT化の時代に、木村塾はどこに向かうのか、梅田本部で木村吉宏代表に取材した。

兵庫・大阪の6都市に31校、生徒数7000名

千葉 木村塾の現在の規模について教えてください。(府県別校舎数と生徒数、正社員数など)。また、現在特に注力している地域はどちらですか?

木村 兵庫県の尼崎市と伊丹市と西宮市、大阪府の池田市と豊中市と吹田市の2県6都市に31校(今春、新規開校3校含む)です。生徒数は約7000名で、正社員は120名です。

千葉 売上はどれくらいですか?

木村 今期決算では20億円を超える見込みとなっています。現在特に注力しているのは、元々の地盤のない大阪府の池田市と豊中市と吹田市の校舎ですが、大阪ではまだまだ無名なので、厳しいです。木村塾は合格実績ありきではなく、偏差値の低い生徒たちの大逆転合格の塾でもあるので、学力下位層の生徒たちの成績を上げる指導は大変です。知名度もありませんし、完全アウェーですから、未だに悪戦苦闘の毎日です。しかし、生徒たちの笑顔が、私たちの糧であり支えとなっています。

アクティブラーニングの実施は難しい

千葉 教育業界ではいま、教育ICT化が進んでいますが、木村塾の取り組みについて教えてください。また、塾長は「アクティブラーニング(生徒の能動的学習)」や自立型学習についてどう思われますか?

木村 塾の指導は週に2~3回、夜の2時間前後に限られますから、倍以上の時間を必要とするアクティブラーニングは物理的にも時間的にも塾で行うには厳しいものがありますね。通常の授業ではなく、まとめて時間のとれる合宿や講習会などでは可能でしょうが、指導時間が制限される場合は無理です。

千葉 個別指導の教材はアウトソーシングされていますね。

木村 はい、個別指導Harvestはスプリックス(森塾)さんの「フォレスタ」を教材として導入しており、平均的な指導がマニュアルで可能です。年2回の全体研修で成果も上がっており、毎回テーマ別のディスカッションなども行います。

「人間教育」の延長線上に進化と深化を進めたい

千葉 いよいよ2020教育改革が進行していますが、木村塾としての対応をお聞かせください。

木村 特には対応を考えてはいません。木村塾の土台である「人間教育」の延長線上に進化と深化を進めるだけです。英語4技能に関しては、ネイティブ講師の採用が難しいので、タブレットでアプリ活用も視野に入れています。

これまで良いものを組み合わせてやってきましたが、人間教育は人しかできない仕事であり、AIがその代わりにはなれません。

各地で塾の寡占化が進んでおり、進出した大阪府でも同様です。まさに「一強多弱」という様相になっている感があります。木村塾では、日青協の「教育コーチング研修」である「人生航海図」の研修に参加しており、教科の授業のテクニックだけでなく、講師が自身の内面と向き合うことで、気づきが生まれ、木村塾特有の人間教育にも役立っています。

大阪は、これまで以上に難しい

千葉 兵庫県から大阪府に複数校展開しましたが、兵庫県と比べて大阪府の展開の難しさや手応えについて教えてください。

木村 そうですね、これまで以上に指導が難しい子が多いという感触をもっています。過干渉や甘やかしなどで克己心の希薄な子も多く、言い換えればネガティブだらけの子もいるので、勉強に取りかかる前に合宿などで仲間と協力し合ったり競い合ったりすることの大切さを学んでもらうとか、私たちもよく観察してこまめに面倒みていくしかないと思っています。ただ、可能性のある子が多く、これまでと同じように、できない子を勉強の姿勢にさせた上で、劇的に成績向上させて、大逆転合格ができるようになると信じてやっています。

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