【山口 時雄】第32回 アナログ派の塾長さん、ICTの導入焦っていますか? 諦めていますか?

学校のICT化はなかなか進みませんが、学びのICT化は急激に進んでいます。特に私学や通信教育、学習塾や進学塾などではICTの活用が当たり前のようになってきています。しかしそれは大手のこと、中小や個人塾などでは簡単に生徒全員にタブレットPCを配付したり、ICTを活用した塾運営などは導入できません。「もうやらない」と諦めるか、「何でもいいから始めよう」と焦るのか。この記事を読んでからにしてください。

教育現場でのICTの活用は2種類あります。「学び」と「運営・管理」です。今回は塾の「学び」におけるICTの活用について話します。

ICTを活用した塾向けの学びには、「対面型」と「eラーニング型」、そしてその「ミックス型」があります。「対面型」とは、講師と生徒が対面した学びにICTツールを活用するやり方です。これまで黒板やホワイトボード、プリントや紙教材で行っていた学習をICT化するものです。「eラーニング型」は、新規の開講や異分野の追加開講で導入されることの多いICT活用法で、PCやタブレットで生徒が動画やアプリを使って自学自習するタイプです。この場合の講師の役割は、「教える」ことではなく学びの進捗管理やモチベーション維持が中心となります。「eラーニング型」では、いま注目されているプログラミング教室などでの活用例も多く、「プログラミングが出来なくても、講師経験が無くても開講できます」といった謳い文句で営業している会社もあります。実際、場所さえあれば開講できて、副業としてかなりの収入を得ているという例もあるということです。しかし、いきなりやったことのない分野をeラーニングで始めるには、PC・タブレット対応やネットワーク管理などある程度のICT知識が求められますから、アナログ派の塾長さんにはハードルが高すぎるかもしれません。得意な分野での利用を前提とした「ミックス型」では、自学自習型の教材ではなく、学習素材や参考資料として動画教材やWeb教材を利用しながらマンツーマンやグループでの学習の場作りが可能かもしれません。

では、アナログ派の塾長は、どのようにICTと付き合えば良いのでしょうか。実際に中堅の塾でICT導入を体験してきた塾関係者に伺いました。3つのパターンを示してくれました。

パターン1:学校の真逆の道を行き、超アナログ塾をめざす

学校でICT導入が進めば、インプットを中心としたアナログ型の授業を求める顧客が増えるはず。だから、これまでどおりICTなど一切使わずにやっていった方がいい・・・たしかに一理ありそうです。短期的にはうまくいくかもしれません。でも5年後、10年後を考えたならば話は変わってきます。いま国が掲げている入試改革が進めば、顧客が塾に求めるものも変化することでしょう。そのときになってあわててICTを導入しようとしても間に合いません。

パターン2:ICTをガンガン使って、他塾との差別化をめざす

逆にICTを積極的に取り入れて時代を先取り、PR効果もねらって生徒増をはかるのはどうでしょうか。たしかに成功を収める可能性もゼロではありません。一方でリスクも大きくなります。学校で1人1台のタブレットを導入する場合、入学時に家庭負担で購入してもらうのが一般的です。しかし、塾で同じことができるかといえば簡単ではありません。塾側で生徒数に応じたタブレットを用意するだけでも、それなりの投資が必要となってきます。

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山口時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長

日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。2013年~現職。

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