【森上 展安】早慶上理、GMARCHで一層共学伸長

女子校は国立難関で存在感

一方で注目すべきはワンランク上とみられる国立難関での女子校の存在感の増大だ。入口偏差値60以上での女子校の難関国立大合格率の上位達成校は、1割以上が基準になるが、そこには渋渋、洗足、市川、鷗友が入ってくる。男子の方では、ここはもともと男子校一色のところで、2~3割という女子より一段高い達成率になるが、武蔵、サレジオ、浅野、海城という名門がそろっている。

そのようにみると、女子校の洗足と鷗友がクローズアップされてくるわけで、男子上位達成率にはおよばないまでも共学上位校と互角の達成率を示していて目を見張るものがある。

際立つ公立一貫校実績

ところで一方で公立一貫校の実績が極めて優れていて、注目すべき状況になっている。非常に簡単に言えば、8割がたの公立一貫校はGMARCHに8割以上合格させ、早慶に3~5割程度合格させ、しかも難関国立大に1割程度合格させている。

もちろん学校によって凹凸はあるにせよ、これらがわずか十数年で達成されたことはやはり注目したい。もう一つ公立一貫校について注目すべきことは、これらの実績が適性検査という選抜方法で入口政策をとった結果であるということだ。

言うまでもなく新しい大学入試の方向は適性検査型に近づいている。その意義はこれからさらに大きくなると思われるが、大切なことは入口で偏差値による洗礼を受けず、冷却化されずに入学している、ということが何より大きいと筆者は考えている。

その意味でGMARCHの共学校の伸長は、実はこの公立一貫校適性検査タイプの入試をその意図の如何に関わらず取り入れた私立が少なくないことにも注意が必要だろう。

これらの私立は、既に指摘した通り、偏差値で言えば40台で(高校入試で置き直してもせいぜい55で)そのような学力層を公立一貫校ほどの達成率ではないにせよ、それまでの男子校、女子校の序列に分け入って実績を出している。

もちろん中学・高校での学力の伸びに注目もするし、そこは肝心かなめの急所でもあるけれども、やはりアドミッションポリシーのところで受験生を励まし、学習意欲をもって入学させる意義は大きいと考える。折しも算数一科入試が来年入試の焦点となろうとしていて、よい意味の過熱化が入試の潮流になりつつあることを歓迎したい。

本紙第76号(2019年5月)の『私教育最前線』の文中、「芝浦工大は2020年募集から共学化する、と公表しているため」との記述がありますが、そのような事実はありませんでした。お詫びして訂正します。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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