【山口 時雄】第33回 高校生に求められる「情報活用能力」とは何か
20世紀の学びには「情報活用能力」などはありませんでした。「知識」や「学歴」以外に問われたのは、「協調性」と「コミュニケーション能力」。「協調性」とは、云うことを聞いて集団の和を乱さないこと。「コミュニケーション能力」とは、飲み会や社員旅行に参加して盛り上げる能力です。コンピュータが登場してから「情報処理能力」という言葉が使われるようになりましたが、これは「処理能力が高い」=「頭の回転が速い」といった、いわゆる「頭のいい人」をたとえる言葉でした。しかし、新しい学習指導要領では、「資質・能力の育成」において、「各学校においては、生徒の発達の段階を考慮し、言語能力、情報活用能力(情報モラルを含む。)、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう、各教科・科目等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。」と明記されています。つまり、「語彙力」や「読解力」、「文章力」といった学びの基本能力と同様に「情報活用能力」が問われることになります。
「情報活用能力」には、まさに情報を活用する能力と、情報活用のためのツール(ICT機器やアプリ)を使いこなす能力があります。
私が個人的に、高校3年生になったらこれくらいは身につけて欲しい「情報活用能力」というのをまとめてみました。
情報を活用する能力
●課題解決または自己表現のための情報をインターネットで収集し、企画・構成して、プレゼンテーションする。それを元にグループワークをしてチームでまとめて発信する。
●情報伝達のために文章、画像、動画、描画などを利用してコンテンツを作成する。
●情報モラルを理解した上で、SNS(LINE、Instgram、Facebook、Twitterなど)やブログ、メール等を適切に利用し情報発信をする。
●テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなど情報発信媒体の成り立ちや構造を理解し、流通する情報の価値、真贋を判断する。
●インターネット等を利用したネットショップや金融決済、個人情報の提供システムを理解し、詐欺などの被害に遭わないようにする。