編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

【LCA国際学園(株式会社エデューレエルシーエー)】英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ学校

 かつて相模原市の「私塾LCA」は、相模原市から山中湖まで生徒全員が、ママチャリも含めた自転車で往復してキャンプしたり、海外ではロッキー山脈にガイド付きで三泊四日滞在したり、英語を学ぶというだけでなく、生活の中で英語を使う訓練をしてきた。英会話教室を併設する塾からイマージョン教育の株式会社立小学校となり、その効果が認められて人気が高まり、社会の注目が集まってきている。創設者の山口紀生学園長にこれまでの苦労と現状の課題、そして今後の方向性などについて取材した。

構造改革特区を活用した日本初の株式会社立小学校

千葉 2008年に認可されたと聞きましたが、株式会社立小学校設立の経緯についてお教えください。

山口 私は横浜国立大学教育学部を卒業後、相模原市の公立小学校の教員でしたが、それを6年で辞めて、1985年に自分の理想とする教育を実現するため、まず私塾LCAを開きました。

 学校では、してはいけないことがたくさんあって、本来子どもたちがやりたいことや楽しいことがやれないと思ったからです。小学3年生4人からスタートした塾では、平日の勉強だけでなく土日や長期休みを活用したアウトドアの遊びを組み入れました。

 2000年に『LCAインターナショナルプリスクール』を設立、2005年に学校の教科を英語で指導する『LCAインターナショナルスクール小学部』を設立しました。そして、2008年に構造改革特区制度を利用して国から正式な認可を受け、『LCA国際小学校』となり、同校の校長に就任しました。

千葉 2016年に『LCA国際学園』の学園長に就任されましたが、2017年には株式会社TOKYOGLOBALGATEWAY(TGG)取締役にも就任されていますね。体験型英語学習施設TGGの英語プログラムの開発と運営に深く関わっておられるのですね。

山口 当校は外国人教師が英語で指導(イマージョン教育)する正式な「小学校」として認可を受け、日本初の「株式会社」立小学校となりました。今では色んな方に注目されており、理想の教育を目指し手探りで進んできた道が間違っていなかったと実感しています。

 TGGには、スタートから関わっていまして、これからの新しい流れになってほしいと願っています。教育業界のいろんな方とも知り合いになり、今後様々な取り組みがご一緒にできればと思っています。

中高設立を目指す上で克服すべき難題とは?

千葉 LCA国際小学校が児童数261名、プリスクールが園児数89名ですね。その他にスプリングスクールとサマースクールで、それぞれ319名と652名という、大変多くのお子さんが貴校に通われていますが、今後中学校や高校の増設の可能性はないのでしょうか?

山口 資金と土地が確保できれば中高を作りたいと思っていますが、いろいろと難題があります。かつては認可されないフリースクールとして運営していたので、子どもたちは「就学義務違反」のハガキが届く不登校扱いまでされていたのです。構造改革特区で認可されましたが、株式会社立として認可したのは相模原市であり、学校法人の認可は神奈川県です。最近条例変更されて、学校法人化には6年分の運営費として20億円近く必要になり、負債も全体の4分の1未満でなければならず、かなりハードルが高いといえます。おそらく学校法人の新規設立を好まない方もおられるのでしょうね。今後状況が変わることを切に祈念しています。

千葉 少子化時代なので私立学校からの反対もあると思いますが、全国的には同様の学校が生まれていると聞いています。

山口 はい、中京地区の公立学校でイマージョン教育を模索していたり、広島市にはボーディングスクールがあったり、少しずつ変化が起きています。

千葉 株式会社と学校法人では税金の差が大きいので、ぜひ学校法人化が進んで欲しいと思います。

オリジナル教材と指導メソッドを広めたい

千葉 貴校の指導と教材の概要について教えてください。

山口 英語学習の基本も外国人の教師の指導で行いますが、あくまでも日本人として育てた上での教育を行っています。これは将来、リーダーとして海外で活躍したり社会貢献してもらうためです。

 LCAのイマージョン教育は外国人教師が教えることだけでなく、英語教材と指導メソッドというセットがオリジナルのノウハウとなっており、興味のある方には是非授業見学したり教材内容、指導メソッドなどを見ていただきたいと思っています。ICT時代に合わせて、デジタル教材をクラウドで取り込んで使うことが可能となっています。現在東京都中央区の常盤小学校が導入して5年目ですが、これをもっと広めたいですね。

千葉 途中からでも生徒が不安なく英語の授業に参加できるようなシステムも用意されていますね。

山口 当校では、プリスクールではなく小学校からの入学者は、別途メニューで英語の個別指導を受ければみんなに追いつくことができます。それを可能にする指導体制をとっているので、確実に足並みが揃っていくのです。案ずるより産むが易し・・・です。

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