【堀切 一徳】英語学習と日本語について

英語学習と国語(日本語)学習

以下の英文を日本語にしてみてください。

(1)Who is she? She is my daughter.
(2)Who drives the car? John does.

(1)は「彼女は誰ですか。」と「彼女は私の娘です。」となりますね。(2)は「誰が車を運転しますか。」と「ジョンです。」となります。ここで日本語の助詞の「は」と「が」に注目してください。普段は意識をせずに使っている語ですが、例えば(2)の「誰が」の「が」を「は」に置き換えて、「誰は車を運転しますか。」とすると何かおかしく感じますね。これはなぜでしょうか。もう一例見てみましょう。日本の昔話の一節です。

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
 ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。

ここでも「おじいさんとおばあさんは住んでいました」とすると日本語のネイティブスピーカーにはおかしく思えます。この理由ですが、「は」はすでに知っている情報を導入しますが、「が」は新情報を導入するからです。上記の文では「おじいさんとおばあさん」が読者にとって新しい情報で、その次のおじいさんとおばあさんに「は」が続くのはすでにおじいさんとおばあさんの存在が読者に知られているからです。さらに「は」の後に言いたいことがあり、「が」についてはその前に言いたいことがあるとも言えます。(1)の文では「彼女は誰ですか。」ですから、she(彼女)は皆が知っていて、who(誰)が話の焦点(言いたいこと・聞きたいこと)です。(2)の「誰が車を運転しますか。」では「誰」が関心の的で、知りたいことです。我々は無意識に(直感的に)「は」と「が」の使い分けをしていますが、実は上記のような区別があるわけです。英語を学ぶ中で、英語を日本語にする際に、自然な日本語にするには日本語の助詞を適切に使い分けることが必要です。このようにして英語学習を通じて、自国のことばについての知識を確認あるいは拡充できることが分かります。皆さんも英語と日本語の接点を探しながら、語学学習を続けてみませんか。

1 2

堀切 一徳(ほりきり かずのり)

郁文館夢学園英語科教諭

1983(昭和58)年3月、東京学芸大教育学部中等教員養成課程英語科卒業、1985(昭和60)年3月同大学大学院教育学研究科修士課程(英語教育専攻)修了、1986(昭和61)年4月郁文館学園英語科専任教員奉職。以降、33年間郁文館で英語教育に携わる。現在、郁文館独自の教育=夢教育(学力・人間力・グローバル力)を推進する夢教育推進部部長。

おもな著作に、『TOEFLテスト公式問題で学ぶ英文法』(2000[平成12]年、大津由紀雄氏・直井一博氏との共著)。 

horikiri

▼『堀切 一徳』の過去記事を読む

【2019/6月】実践的英語力(アウトプット重視の英語力)について

【2019/5月】英語コミュニケーション時代の単語と英文法学習

 

   ≫さらに読む