【大村 伸介】怒らない自分になろう2

7月になり、夏休みが目前に迫ってきました。読み聞かせボランティアのお母さんたちと話していますと、皆さん一様に憂鬱な気持ち・・・。

「また毎日バトルやわ」

「もう夏休み来なかったらいいのに・・・」

これでは子どもたちもせっかくの夏休みを楽しめそうにありません。

怒らない動物はいない

私がこういう記事を書き、各地で研修や講演会をしていることを皆さん知っていますから、いろいろ質問されます。

「怒らないためにはどうしたらいいんですか」

「怒らないことはできませんよ」

これが答えです。これまた皆さん一様に落胆されますが、先月号で書いた通り、怒りは一種の生理反応です。

また、怒りは人間だけに起こる現象ではありません。犬だって、猫だって、鳥だって、ザリガニだって、ダンゴ虫だって、怒りはあります。そういう観点では、どの生物にも起こる低次の反応と言っていいでしょう。

叱りはどうでしょうか。子犬を叱っている親犬、子猫を叱っている親猫、雛鳥を叱っている親鳥、子ザリガニを叱っている親ザリガニ、子ダンゴ虫を叱っている親ダンゴ虫・・・見られたことがある方は、是非ご一報ください(笑)。そうです、叱りは人間にのみ起こるものなのです。

叱りとは

では、叱りとはいったいどういうものなのか、整理してみましょう。先月号の怒りと見比べてみてください。
 

教育コーチングにおける
怒りと叱り
怒り 叱り
来るところ  感情から来る  理性・意図・客観から来る
対象  無関係の対象まで混ぜて扱う  1つの物事について扱う
観点  マイナス面と過去を見る  プラス面と未来も見ている
身体状態  目がすわり、厳しい表情
 体温変化、発汗、震え
 硬直、大声
 平静
 表情や声をコントロールできる
結果
(自分)
 言ってすっきりする
 言って自己嫌悪に陥る
 感謝・喜び
 反抗課題や行動が明確になる
結果
(相手)
 打ちのめされる
 反抗または逃避

怒りは、教育コーチングにはもちろん、しつけにも役立ちません。しかし、叱りなら有効に働くことがあります。教育コーチは、「怒らず、叱る」自分を目指します。暴れ出した感情を抑えきれずに言葉を吐き出してしまうのではなく、ただ相手の成長のために、必要な言葉を受け取りやすい形で届ける、そんなコミュニケーションを習得しましょう。

叱りの準備をする

叱り方にマニュアルはありませんが、次のようなポイントを知っておくと途中で怒りが湧いてくることなく叱ることができます。

まず、何について叱るかを明確に決めます。授業態度なら授業態度の件だけ、服装なら服装の件だけです。

次に、叱る観点を明確にします。たとえば「毎日練習に参加する」と約束したのに練習に参加せず、病院へ行くと嘘をついて帰宅した生徒がいたとしましょう。観点は、練習しないことなのか、約束を破ったことなのか、嘘をついたことなのかを決める必要があります。3点とも叱りたいなら、1つひとつを区別して順に叱ることです。叱る対象は、あくまでも行動や現象です。「ダメなやつだ」と存在を否定するのではなく、「君の行動はルール違反だ」「君の言葉は友人を傷つけた」と叱る、これが基本です。

さらに、その叱りをどのような言葉にして発するかを決めます。何がいけないのか、どれほどいけないのか、どんなリスクが生じるのか、自分がどんな気持ちなのかなど、口にする言葉を準備します。気持ちを届ける部分については「僕は、悲しい」「私、ショックだったよ」と、「Iメッセージ」の形を用いると効果的です。

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大村 伸介(おおむら しんすけ)

(株)成基総研 コーチング室 室長

集団指導塾を経て、2004年株式会社成基入社。

教室長、エリアマネージャー、本部長補佐、副本部長を歴任。

現在は、教育コーチング、パパママコーチングセミナーのトップ講師として教職員研修、保護者講演会等で全国を飛び回る。

日本青少年育成協会認定上級教育コーチ・認定A級トレーナー、主任研究員

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▼『アクティブラーニング』の過去記事を読む

【2019/6月】怒らない自分になろう

【2019/5月】自分が源泉

 

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