【森上 展安】早慶上理実績とGMARCH実績に見る「学力を伸ばした学校」―四谷大塚版にあってSAPIX版にない学校

同じ実績を比較しても母集団の制約が

前号で入口偏差値に比べ大学実績の出し方がよい「お得な学校」について述べたが、より詳しくはAERA6月10日号で「学力を伸ばした学校」として記事化されたところ、極めて大きな反響があった。改めて「学力を伸ばした学校」についていえば、入口偏差値に対して大学合格実績から出口偏差値を算出し、そのポイント差の大きな学校を「学力を伸ばした学校」として表にした。

この入口偏差値を四谷大塚の偏差値を用いてAERA誌に公表したが、一方で私共ではこれをSAPIX偏差値でも算出してみたところ、難関国立大実績を指標にした「学力を伸ばした学校」についてはほぼ同じ校名となったが、より正確にいえば四谷大塚版にあってSAPIX版にない学校がいくつかあり、栄東、開智、神奈川大附、桐蔭中等、帝京大、創価などとなった。それらはSAPIX版にノミネートされないか、されてもポイント差があまりなく、恐らくそれは6年前のSAPIX模試の母集団が埼玉、神奈川、三多摩地区の受験生が少なかったことによるのではないかと筆者は考えている。

もとより同じ大学実績で比較しているので実績自体は共通しているが、そもそも模試志望校にエントリーがなかったか、あっても志望者が少なく十分なデータになっていないと推測される。

早慶上理実績で「学力を伸ばした学校」比較

さらに早慶上理実績を指標に取ると、SAPIX版にはほとんど校名が挙がらないが、四谷大塚版では実に多く挙がる。以下に列記する。

まず男子校から。四谷大塚版では城北、世田谷、攻玉社、桐朋、東京都市大付、高輪、成城、芝浦工大附。SAPIX版では該当校なし。

次に女子校。四谷大塚版では頌栄、東京女学館が挙がるが、SAPIX版では該当校なし。

共学校ではどうか。四谷大塚版では栄東、帝京大、桐蔭中等、中大横浜、國學院久我山、山手学院、穎明館、成城学園、都市大等々力、大宮開成、青稜、桐光学園、法政第二、宝仙、日大となる。一方SAPIX版では中大横浜、國學院久我山のみ。

まだ難関国立大実績指標では男子校、女子校についてはほぼ共通していたが、早慶上理実績となると男子は四谷大塚8校対SAPIX0校、女子は2校対0校、共学校は15校対2校と極端な違いが出る。

どちらがどうということではなく、SAPIXの場合、校名が挙がるのがほぼ中位校(SS46未満)からなので、データが少ないと考えるべきだろう。

国立難関校実績の指標におけるSAPIX版の校名に挙がることが少なかった埼玉、神奈川、三多摩の校名もさることながら、都市大等々力、宝仙といった、いわば非常に力強い実績を出している2校が抜け落ちているのは注意しておきたい。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

(株)森上教育研究所 所長


1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。

中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。

中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。

著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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