【堀切 一徳】グローバル教育における英語教育

グローバル教育における英語教育

ある調査によると中高一貫校が英語で身につけさせたい力として「リーディング力」、「文法」、「語彙力」を上位に挙げているそうです。この能力は日本の受験英語に対応する能力です。上のセクションでも述べましたが、グローバル教育に取り組んでいる学校は進学校が多く、どうしても日本の受験英語にこだわってしまうようです。この辺りが4技能をバランスよく伸ばす英語教育の妨げになっています。「コミュニケーション力」をつけるためには「スピーキング」や「リスニング」に力を入れなければならないはずですが、これらの技能も優先順位は高くありません。「ライティング」についても外国人の指導者がいなければ、たやすく指導はできません。

このような状況を考えると、真のグローバル力を身につけるには、現状の大学入試状況を改革するしかないという結論に至るはずです。このような状況の中で、文科省は2021年度の入試から、センターテストではなく、新共通テストを導入すると発表しました。また、4技能測定テストのスコアで共通テストに代えることができるようになるとのことでした。しかし、東大をはじめとするいくつかの国立大学で4技能テストのスコアの提出は義務でなくなりました。新共通テストの英語はリスニングとリーディングが各100点で合計200点となりました。スピーキング力とライティング力は評価されません。考える力と表現する力を試すために、国語と数学では記述式を導入するはずでしたが、つい最近のニュースでは数学では数式のみを記述するようになりました(後日の会見で否定)。なぜなら50万人の受験生の答案をブレなく採点することは不可能だからだそうです。このように入試改革は後退し始めているのです。このような状況下では、グローバル人材育成は高校で完結するのではなく、大学で完結すると考えるのが自然でしょう。特にコミュニケーション力の礎となる英語教育は、高校では語彙、文法、リーディング、そしてリスニングに力を入れて、受験を経てからスピーキング力を磨くということに落ち着くのではないかと思います。しかし、ある程度年齢がいってからですと英語の運用力が十分につかない可能性も出てきますね。子どもたちにとって、どちらがよいのでしょうか。悩みますね。オールイングリッシュを目指して始まった英語教育改革もここに来てブレーキがかかっています。今回の英語教育改革の行く末はいかに。しばらく見守ろうと思います。

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堀切 一徳(ほりきり かずのり)

郁文館夢学園英語科教諭


1983(昭和58)年3月、東京学芸大教育学部中等教員養成課程英語科卒業、1985(昭和60)年3月同大学大学院教育学研究科修士課程(英語教育専攻)修了、1986(昭和61)年4月郁文館学園英語科専任教員奉職。

以降、33年間郁文館で英語教育に携わる。

現在、郁文館独自の教育=夢教育(学力・人間力・グローバル力)を推進する夢教育推進部部長。

おもな著作に、『TOEFLテスト公式問題で学ぶ英文法』(2000[平成12]年、大津由紀雄氏・直井一博氏との共著)。

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▼『堀切 一徳』の過去記事を読む

【2019/7月】英語学習と日本語について

【2019/6月】実践的英語力(アウトプット重視の英語力)について

 

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