【山口 時雄】第36回 Society 5.0時代に向け「ICT教育」を推進する文科省の本気度<後編>

具体的なモデル例

 報告書ではこうした認識を踏まえ、大型提示装置や学習者用コンピュータ関連をより安価に広く展開するため、分かりやすく具体的なモデルの一例を示しました。文科省が公立学校の基準として示すこの内容に対し、あなたの学校が整備済み、または整備しようとしている内容が、金額ではなく機能として追いついていないとしたら、それは公立以下のICT環境ということになります。

□学校の実情を踏まえた安価に環境を整備するためのモデル例

①大型提示装置

 教室の規模や学級の人数によって50インチから80インチ程度と整備すべき大きさは異なるが、最後方の子どもの視認性を確保できているか十分確認する必要がある。安価なプロジェクターで十分機能は果たせるものが多いが、装置の落下等に対する子どもの安全性と、教師が手軽に使える容易さが求められる。

②学習者用コンピュータ

 以下の機能を有する、一般向けに普及している可動式のもので十分。

・バッテリー駆動時間:カタログ値6~8時間以上、無線:無線LAN接続機能、画面:9~14インチ程度、形状:ノート型コンピュータまたはタブレット型コンピュータ、キーボード:小学校中学年以上ではハードウェアのキーボードが必須など。

*ここで注目して欲しいのは、キーボードについて。小学校の中学年でハードウェアのキーボードが必須だとしています。最近の中高生のキーボード離れが深刻で、理科系の大学生でもキーボードがほとんど使えないという学生が多いと言います。高校生が使用する情報端末にキーボードが付いていないなど、考えられないことになります。

③通信ネットワーク

 今後の1人1台環境での動画、オンラインでの試験(CBT:Computer Based Test)、クラウド活用等の展開を見越すと、2019~20年にかけて本格的な普及が始まると思われる10Gbps以上の通信速度に対応するLANケーブルや機器による整備を、学校規模や活用状況にも考慮しながら計画的に順次行っていくべき。

*ここでの注目は、CBTです。コンピュータを使ったオンラインの試験を学校で受験することまで想定しているということです。大学入試の「英語4技能」に関する、外部試験など受験などが考えられます。整備されたICT環境やPCがなければ受験できません。

④ソフトウェア

 ソフトウェアの調達に当たっては、ソフトウェア自体の更新や製品の見直しによる入替えなど、ハードウェアの更改時期に縛られずに柔軟な運用対応ができるよう、ハードウェアとは切り分けた調達やクラウドコンピューティングの導入など、実際の運用を想定した対応を行うことが必要。

⑤教育クラウド

 「クラウド・バイ・デフォルト」原則を学校現場でも導入できるよう、文部科学省において「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂を行い、パブリッククラウドの積極的な活用を進める。

 報告書のまとめでは、「AIなどの技術革新が進むSociety 5.0という新たな時代に対応するためには、不断の取り組みとして、学校教育も変化していかなければならない。そのためには、ICTを基盤とした先端技術やそこから得られる教育ビッグデータを効果的に活用することで、子供の力を最大限引き出し、公正に個別最適化された学びを実現させていくことが求められる」と締めくくっています。

 あなたの学校のICT環境整備、ICT活用教育は、Society 5.0を意識していますか。

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山口 時雄(やまぐち ときお)

ICT教育ニュース 編集長


日本大学法学部新聞学科在学中から映像業界で活動。

フリーの映像作家を経て、1986年(株)フレックス入社。

NTT関連の広報活動、通信イベント等多数参画。

1990年~93年テレビ朝日「ニュースステーション」ディレクター。

1994年~フレックス報道担当取締役。2003年、メディアコンサルタントとして独立。

2013年~現職。

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