全国主要塾最新レポート 「進学塾から習い事も含めたハイブリッド塾へ 集団個別からロボットを活用した自立型指導塾へ」

各地の大手塾で習い事、特にそろばんを導入する傾向にある。これは小学校低学年の集客に効果的であり、今後増える見込みだ。塾以外のサイドビジネスでは、介護や福祉に加えて不動産や飲食、そして日本語学校と引き続き多彩である。働き方改革と人材の有効活用の点で、今後も事業の多角化は進行するものと思われる。

では、地方の塾はどうやって生き残るべきか? 少子化と増税時代に本業の塾だけで生き残れるのは一握りになるかもしれないし、大手塾がこぞって進出してきたら中小個人塾はひとたまりもないかもしれない。学童だけでは大変なので、そこで習い事をどうするかだ。そろばん・英語・書道・ダンス・レゴ・ロボットなど・・・他塾の成功事例を見学して検討したいものだ。

教育ICT化への対応において、タブレット活用では一工夫二工夫が必要で、生徒にやらせっぱなしでは効果がない。通信環境も整備されてきたので、AIロボットの出番が本格的に始まりそうな気配である。

A社

「グループ18社で、教育事業は8社。売上は164億円、内訳は教育事業が139億円、教育関連事業が24億円。

教育事業部門に約600名、それ以外の部門に約170名で合計約770名の正社員がいる。臨時従業員は約3,860名でグループ全体では4,600名ほどになる。教室は国内470拠点で、海外のインドや香港、そして中国本土の北京などにも拠点がある。香港は今のところそれほど心配はしていない・・・。

生徒数は塾本体で低学年を中心に前年同期比で増加、5校の新規開校と数校のリニューアル移転・開校を行った。個別指導では7校の新規開校と数校をリニューアルし、生徒数は増加。子会社Z塾は、2校を新規開校するなど、生徒数は横ばいだが新規入塾者は前年比プラスになっており回復傾向にある。

グループの新会社では全体の4分の3が女性で、保育・学童保育・幼児教室の現場で活躍している。勤務時間が遅い学習塾が主体のためグループ全体では女性の比率はまだ低いが、HD会社では女性の比率が高まり、責任者への登用も進んでいる。新卒採用でも全体の半数が女性で、学習部門以外の配属希望が増えている。ただし、まずは塾の現場を経験してもらうようにしている」

グループ化したN予備校は、沿線展開でのシナジー効果と効率的人事、そしてコンテンツの共有を目指している。

B社

「創立から35年で生徒数は26,000名。高校部門は、映像授業も導入し、高校準拠の大学受験指導で成果を得ている。個別指導に、究極の個別指導を生徒:先生=1:1で開講。成果はこれから。中学受験など様々な部門とコースでシナジー効果を高めたい。また、単にノウハウ獲得と積み上げでなく、人材の有効活用にも努力したい」

C社

「そろばん塾部門を昨年スタートさせてもうすぐ40校になろうとしている。受験に役立つ一生ものの暗算力を培うことをテーマとして、そろばんピコとピコ式暗算ABC(タブレット)のハイブリッド学習で幼児と小学校低学年の集客を目指し効果を高めている。

幼児と小学生の学びのモールでは、様々なツールにより、幅広い生徒層の取り込みに努力している。比較的景気の安定している名古屋でも、受験だけの塾では今後食べていけないと予想し、同様の取り組みを増やしていきたい」

D社

「2019年5月期の売上高はクグループ全体で86億5,000万円、経常利益は8億8,200万円。小中高一貫指導体制で塾としての質を高めてきたが、高校1年生全体の約8割が小中部からの継続であるという事実から、地域の信頼が得られているという自負がある。それに応えるべく、今後も教育セミナーによる啓蒙活動、最新の教育ICT化の導入など、可能な限りの教育サービスの提供に努力していきたい。

教科別の指導では、特に英語のオリジナル講座などの実施により、生徒の具体的な目標達成を重視した指導を目指しており、つねに生徒のモチベーションアップを図っている。

創立55周年にあたり、市場変化への対応とサービス強化、それに伴う組織再編やデジタル化への対応など、地域社会への貢献もふまえて最善の努力をしていきたい」

E社

「本拠地の中心部にある個別指導部門には色々なツールのモールがあり、多彩なイベントで工夫を凝らしている。そろばん教室を2校11月開校し、その後3校を開校予定。狙いは幼児と小学校低学年の集客、これが成功すれば既存地域全域での展開を目指す。幼児や小学校低学年は漢字が読めないこともあり、飛び級の学びには限界があるが、習い事のそろばんはその点問題ない」

F社

「33年で宮城・福島・千葉・茨城・埼玉・東京で250教室、生徒数25,000名に達した。今後期待しているのは、グループ内のP社、茨城から千葉、埼玉から東京へと教室展開を広げているが、東京ではスカイツリーのある押上に映像授業の高校部を開校した。集団から個別、そして集団個別ハイブリッドと展開してきたが、現在選抜制集団ハイレベル指導や四谷大塚予習シリーズ教材を活用した中学受験で学力上位層の獲得に注力している」

G社

「県内の公立中高一貫校対策では引き続きトップを走り続けているが、問題などのデータは公開されているので、どこの地域の塾でも地道に頑張れば公立中高一貫校対策はやれるはず。やらないという選択肢はないと思う(笑)」

H社

「集団から個別、個別から集団個別への流れの中で、いよいよ個別のニーズも頭打ちになってきた。だからというわけでもないが、ここ数ヶ月ロボットによる体験イベントを行っており、予想以上の反応に驚いている。卓上ロボットによる指導は今後幅広い可能性を秘めており期待出来るが、Wi-Fiや電源の環境整備も必要だし、ロボット導入で紙教材が要らなくなるわけではないこともわかってきた。実証実験を繰り返すことで改善すべき点も見つかるので、実用化に向けてさらに努力していきたい。2020年オリンピック開催では、都内だけでなく神奈川も渋滞や宿泊施設不足など様々な影響を受ける。合宿や講習、通常授業に支障が起きないように万全の体制で臨んでいきたい」

卓上型学習ロボットユニボの開発者 酒井氏

今後、学習ロボットはかつてのパソコンと同様、教育の現場で急速に普及していくと予想されている。

I社

「1979年の創業で40周年を迎える。多様な選択肢のある人生を応援する塾であり続けたいと思っている。また、学習効果は本人の自覚×学習時間×学習方法であるという考えのもとに、学習方法をしっかりと教えて十分鍛えるようにしている。定期テスト対策には自信があり、膨大な資料の有効活用のもとに教材センターで過去の出題傾向を分析して独自教材を作成している。かなり高い的中率の問題集も出しており、これが生徒の内申点アップに効果的である。漢検・数検・英検の三大検定の取得に努力しており、これは埼英のQ社さんと同様全塾生が対象である」

J社

「中学受験部門で特別公開授業を行った。小4で中学受験狙いの生徒を取り込む初の試みで期待している。理科で、星の動きなどについて学ぶ。これからまた台風の影響が懸念されるので、教室にも非常食や飲料水、そして懐中電灯や電池などの備蓄品を確保しておきたい」

K社

「創立から33年で生徒数が8,000名に近づいて来た。理想の塾を目指して成績向上だけでなく、マイナーな生徒たちを日の当たるところへという強い思いで、勉強の場と人づくりの場として、生徒指導に真正面から取り組んできた。独自の教育理念もその中でできあがった。地盤地域から外に出て大都市圏に進出しても当塾の教育理念と指導システムが通用することがわかり、当塾の考え方が間違っていなかったと確信した。かなりの投資をしたが、本部機能を大阪の高層ビルに移したことで若手の有能な人材も集まるようになり、投資した甲斐があったと安堵している」

L社

「開校して30年ほど経つ教室をリニューアルし、移転開校記念で盛り返している。習い事の部門でそろばん教室を12校で開講しており、小学校低学年の生徒集客に寄与している」

M社

「中1~3を対象とした2学期中間テスト対策講座を実施する。9月からの実力アップと入試対策として中3秋期講習を60時間で開講。地方の一番塾を自負していても、大都会から大手塾がやってきたらあっという間に消えるかもしれないので、少子化だろうが増税不景気だろうが、お構いなく、毎月イベントを続けていくしかない。まるでスナックの生き残りをかけた戦いのようだが、胡座をかかず、とにかくこれでつないでいくしかない」

N社

「目標に挑戦することが大事だという考えのもとに、三大検定を一定の基準まで全塾生が取得することを目指しており、ほぼ達成してきている。その結果として受験の実績も毎年向上しており、特に数検では、二度文部科学大臣賞を受賞している。

働き方改革では、講師の労働環境向上に努力しており、夜11時半以降に校舎の電気が点いていたら連絡して欲しいと皆さんに伝えている」

O社

「関西圏に入るのだが、日本とは思えないほど夜は静かでもネオンも少ない。特に増税が近づくほど夜の繁華街は静かになってきた(笑)。

チラシで『先進の進学教育』と謳ってきたが、効かなくなったので、HPに動画ライブラリーを設けて、教室の生徒や先生の生き生きした様子を公開した。百言うよりネットの一で分かる時代。だからYouTube全盛時代なのだ。今後も、頑張るとは何かのために必要な努力と必要な我慢をすることだと生徒たちに言い続けたい」

P社

「今年は特に台風の影響が多いので、塾のHPで『台風等の災害時の対応について』を設け、その中で休館や休講になる場合のお知らせとして一定基準を設定した。全国の難関大学合格で躍進できたのは、ライブ指導も重視したアクティブラーニング型授業導入の成果だと思う」