【出口 汪】国語教育における音声講義の優位性

読解力低下の問題

昨今、読解力の低下が問題になっている。新井紀子氏が「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」で指摘されたように、来たるAI時代には読解力がもっとも重要になるにもかかわらず、多くの子どもたちは教科書ですら自分で読むことができないでいる。

国語の試験では何となく文章を読んで、設問を行き当たりばったりで解くのだが、文章を頭の中で論理的に整理できていないから、選択肢があればそこそこ得点できるが、記述式の問題になると何をどう書いていいのか分からないと、途方にくれるばかりである。私が予備校の教壇に立った頃から指摘してきたことだったが、新井紀子氏はそれを数値化して見せたのだ。これは明らかに国語教育の失敗を意味している。

私はその原因を再現性のない授業にあると指摘してきた。「本をたくさん読め」「問題を数多く解け」「新聞の社説などをまとめよ」と、習うよりも慣れよといった指導ではほとんど効果がないことは明白なのだ。

文章を論理的に読むから、頭の中でそれを論理的に整理し、設問に対して論理的に答えることができる。だが、塾業界の現状として、それを指導できる講師はほとんどいないと言っていい。そこで、小学校高学年から大学受験生まで私自身が直接教えたくなった。

 

読解力を習得するために

国語力、読解力を習得するには、初見の文章を自分一人の力で読み取る体験をどれだけ積むことができたかがポイントなのである。ところが、多くの子どもたちは学校の先生の説明を鵜呑みにして、定期試験ではそれを疑うことなく答えているだけなのである。

問題集などを使って自分で学習しようと思ったところで、その解説を読みこなすには相当の読解力が必要である。塾では再現性のない授業を受け、自宅では問題集の解説が理解できずにストレスばかりを溜め込んでいく。こうした状況を打開するには、結局私自身が直接指導するしかないのだ。

 

なぜ音声講義なのか

私は40年近く一貫して論理的な講義を行い、すべての大教室を満杯にしてきた。執筆した参考書、問題集の類は100冊以上、幼児ドリルから大学受験、社会人用のものまでもあり、発行部数は累計1,300万部を超える。これらを利用すれば、私は直接指導することは可能なのである。そこで、「音声講義」を塾対象に配信することを決めたのである。

なぜ、「音声講義」なのか。国語は画面の講師を見ることよりも、テキストに眼を集中させ、手を動かし、耳で音声講義を聴くことが最も効果的だと、長年の経験から熟知しているためである。また「音声講義」ならスマホでも聞くことができるので、初期投資の必要がない。パソコンやタブレットすら必要がないのである。テキストは私が執筆した問題集等である。予備校のテキストに比べ、市販の問題集は多くの編集者の手によって、完成度が高いものとなっている。解説も充実し、価格も1,000円前後と安くて、何よりも綺麗である。子どもたちは講義を聴くたびに、綺麗な問題集が手元に残っていくのである。すでに定番となった、確実に力のつくことが実証された問題集を私が順次講義をしていく。子どもたちは問題を解いた後、私の音声講義を聴くから自然と一冊を最後までこなすことができる。そして、詳しい解説によって、最後頭の中で講義の内容を整理できるのである。しかも、無学年制だから、自分の学力に合わせて、読解力、論理力が身につくまで何冊も講義を受け続けることができる。

数多くの「音声講義」を収録し、それを一人でも多くの子どもたちに届けることが私の使命だと自覚している。予定している講義数は小学校高学年から大学受験まで500講義を超える。「論理エンジン」から「システム中学国語」「システム現代文」「現代文レベル別問題集」等、最高の講義を提供していく。

 

1 2

出口 汪(でぐち ひろし)

株式会社水王舎 代表取締役


関西大学大学院博士課程単位修得。代々木ゼミナール、東進ハイスクールの講師を歴任し、「国語の文章を論理的に読解する手法」を授業に取り入れ、一躍カリスマ講師としての人気を博する。その後、1993年には「総合予備校S.P.S」を、2000年には教材開発・出版を目的とした「水王舎」を設立する。

2003年に発行した「論理エンジン」は、国語を感覚的に解くのではなく、筋道を追って論理的に解くことの重要性を説き、全国公立私学250校以上が採用するなど、大ヒットを記録する。

広島女学院大学客員教授、基礎力財団評議員。著書『はじめての論理国語(水王舎)』『出口先生の頭がよくなる漢字(水王舎)』『知っているようで知らない夏目漱石(講談社)』など著書多数。

morigami
▼『出口 汪』の過去記事を読む

【2019/10月】論理と漢字の幼児教育

【2019/9月】塾のあり方を改革する

   ≫さらに読む