編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

【私塾REAL】特別版 未来へ羽ばたく子どもたちのために中小塾は連携していこう

少子高齢化が進む国内の民間教育事情は、変化の連続です。塾の世界も世代交代が進み、従来型の指導方法に加えて新しい授業形態が増えてきています。子どもたちが健やかにのびのびと学習できる環境を整えるために、中小の塾同士が力を合わせてさまざまな課題や最新情報の提供に取り組んでいるのが全国学習塾協同組合です。

全国学習塾協同組合について

全国学習塾協同組合は、平成4年4月に設立した経済産業省所管の事業協同組合です。本組合は「中小企業等協同組合法」に則った、学習塾業界では唯一の全国組織の協同組合です。ご存知のことと思いますが、農業協同組合・生活協同組合などいろいろな協同組合があり、農業協同組合は農林水産省、生活協同組合は厚生労働省の所管であり、我々の事業協同組合は経済産業省のご指導をいただいています。なお、当組合以外に県ごとに規模の小さいものから100塾前後の県知事認可の協同組合が全国に10前後存在しています。

 

全当組合設立の経緯

全国学習塾協同組合 理事長 森 貞孝氏

昭和63年に学習塾が初めて公に認められたともいうべき社団法人全国学習塾協会が設立されました。それまで学習塾は、教育を金儲けの材料にしているとか、受験戦争を激しくさせている元凶などと教育関係者やマスコミからは叩かれ、公には存在が認められていませんでした。ようやく国の認可した社団法人ができると当時の塾関係者はもろ手を挙げて大喜びをしたものです。子どもたちの教育に真摯に取り組み、地域に貢献して信頼を得ていながら公的な場では認められないという切歯扼腕する思いがようやく認められたのです。

私は設立の翌年の第一回通常総会で社団法人の理事長に選ばれ、全国を歩いて公的な団体に参加するように呼びかけました。それぞれの地域でたくさんの方が集まって話を聞いてくれました。

社団法人は、公益に資するという目的から、国のために、国民のためにこの業界として何をしていくべきかを考え、また業界のイメージアップを図っていく。国会で質問があれば資料を作成する。社会的な問題が起こればマスコミの窓口になる。そのようなところだと当時の通産省からは説明を受けていました。それでそのような話を各地でしたのですが、多くの塾経営者の方々は、この教材はどこで買えるか。学校と同じような黒板や机椅子はどこで買えるか。入試情報を手に入れるにはどうしたらいいかというような質問ばかりが次々と寄せられました。持って帰って通産省で話をしました。社団法人は公益を目的とするもの、自分の塾の利益になることを目的とした事業活動をするところではないと厳しく注意されました。それでも行った先々で出てくるのは塾経営に関する悩みばかりでした。

通産大臣室でそのような悩みを話題にしていた時に、「あなたたちのしたい事業活動は、まさに協同組合の事業活動そのものだ。協同組合は経営にプラスになる目的で集まり、事業活動をすることによって各事業主が事業を拡大し、利益を上げていくことを目的として設立されている。もし学習塾の経営者がそのような要求を多く持っているものならば、全国組織の協同組合を作り、社団法人と両輪の輪として業界の発展のためにやっていったらどうか。そのために通産省としては全面的に協力してもいい」

通産省からそのような話を受けて、理事会に諮ったところ圧倒的な賛成で、協同組合を作る方向が決定され、私は社団法人の理事長と、協同組合の設立発起人代表を兼ねることになったのです。

平成3年で私は社団法人の理事長を退任し、協同組合の設立に邁進し、平成4年4月、現在の全国学習塾協同組合の通産大臣(現在の経済産業大臣)の認可をいただいて正式に発足をいたしました。

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