【森上 展安】英語民間試験見送り ―都立スピーキングテストの活用を

4技能評価高校入試は待ったなし

今回の英語民間試験の見送りは、まさに政治問題化している。一旦4年後へと先送りしたのは、今の中1生が大学受験生となる、つまり新学習指導要領が適用される2024年度に合わせる背景があるからだ。ここでの4技能評価はさすがに教育界に異論はなく、従って2年後に、高校入試にスピーキングテストが実施されることはまさに揺るがすことのできない問題だ。

しかし、それに対して早くからスピーキングテスト実施の方針を明らかにしている自治体は東京都以外寡聞にして聞かない。

東京都教育庁の発表している概要によれば、都は今年度中2生に試行テストを実施した。その上で現中1生が中3になった秋11月~12月にスピーキングテストを実施し、その評価を3月の都立高校入試の結果に反映する、としている。

もちろん、都の場合でも今回の国の政策同様、民間試験を活用する案もあったが、最終的には民間に対して学習指導要領に沿ったスピーキングに特化したテストを開発してもらい、これを活用する方針に決まった経緯がある。

大学入試においても東京外国語大学は独自にスピーキングテストを外部団体と協働開発して入試に臨むし、上智大学も「TEAP」を開発し、自校はもとより今回の大学入試利用の民間試験の1つとしての活用にも供している。

東京都のスピーキングテストはこうした独自入試用に開発する流れと同じだが、その開発費用や運用を考えると大学でもそうであるように、自治体でも都のような余裕のある財政状況がないと難しい。

そうした事情を踏まえ都はスピーキングテストを私立やほかの自治体についても活用することで低廉化をはかりたいとしている(実施方針)。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

(株)森上教育研究所 所長


1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。

中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。

中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。

著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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