【大村 伸介】受け取る「想い」は?

禁止と奨励

12月に入り、徐々に冬の足音が近づいてきました。昔から「師走」といいますが、走りたくなるのは生徒も同じでして、先日お会いした校長先生が困惑した表情でこんなことをおっしゃっていました。

「廊下を平気でバタバタと走る生徒がいましたのでね、『こらっ!走るなっ!』と思いっきり怒鳴ってやったんです。そうしたら、生徒たち、どうしたと思います?匍匐前進したんですよ!もう、空いた口が塞がりませんでね…呆れるほかなかったですよ…」

失礼ながら思わず笑ってしまいました。というのも実はこの話をお聞きするのは、これが初めてではなかったのです。全く別の学校の先生からも同じ話を聞いたことがありました。それもお一人やお二人ではなく…。先生に「走るなっ!」と注意されたら、匍匐前進をするというマニュアルでもあるのでしょうか。思わずネットで検索してしまいました(笑)。

 

目標は達成!?

「それはそれは…。でも『走るなっ!』と注意して、匍匐前進したわけですから、先生の目標は一応達成してますよね」
私がこう申しましたら、
「いやいや、普通はそこで『すみません』とか『ごめんなさい』とか言ってですね、歩きますでしょ!」
こう言われながら、校長先生の目がつり上がってきました。

「走るのを止めて、歩いてほしかったんですね。明確にそう言われなかったのは何があったんです?」
腕組みをしながら眉間に皺もよってきた校長先生がポツリ。
「うーむ、何があったか…怒りですわな」

 

生徒が受け取ったものは?

「へぇー、怒りですか。では、生徒に走るのをやめてほしかったのはなぜです?」
「それはもちろん、安全ですよ。怪我でもしたら大変ですし、怪我をさせても大変ですし…」
「ほぉー、一言で言うとどうなります?」
「心配、ですかね」
「怒りと心配、生徒が受け取ったのはどちらなんでしょうね」
「…」

「校長先生の気持ちとしては、心配があったわけです。それを受け取っていたら、生徒はどんな行動をとったでしょうね」
「…おそらく、謝り、歩いたでしょう…」
「先ほどまでのつり上がった目に柔和さが戻り、眉間の皺もなくなり、私が良く存じている先生のお顔に戻られましたね」
「いやいやいや、お恥ずかしい限りで…つい怒ってしまうんですなぁ…」
ほんの10分ほどのセッション(に結果としてなりました)でしたが、様々なものを掴まれたご様子でした。

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大村 伸介(おおむら しんすけ)

株式会社成基総研 コーチング室 室長


集団指導塾を経て、2004年株式会社成基入社。

教室長、エリアマネージャー、本部長補佐、副本部長を歴任。

現在は、教育コーチング、パパママコーチングセミナーのトップ講師として教職員研修、保護者講演会等で全国を飛び回る。

日本青少年育成協会認定上級教育コーチ・認定A級トレーナー、主任研究員。

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